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出来れば手加減を‥‥‥

手加減を‥‥‥したかった。

SIDE里宇(りう)たち


「今日の依頼は‥‥‥『星蛍草』の採取だっけ」


 都市から少し離れた平原にて、今回のの依頼を達成すべく里宇(りう)たちは野営の準備をしていた。


「はい、星蛍草は薬草の一種なのですが普段は普通の野草と見分けがつきにくいんです。ですが、黄昏時の星空が浮かび上がるそのほんのわずかな時間に水をぶっかければ綺麗な光花が咲いて、採取が可能になるんですよ」

『そういう薬草もあるんだー( ..)φメモメモっと』

「水ナラバ、ハクロノ水魔法デモ、私ガスライムニ化ケテモ用意可能ダヨン」

「スライムに化けるって‥‥‥水分なのかあれ?」

「スライムの体の99%以上は水分ですからね。ドッペルゲンガーが化けている状態だとどうなるのかまではよく分かりませんが‥‥‥」


 とにもかくにも、この依頼はあたりが暗くなるのを待たなければいけないやつなのである。


 とはいえ、この世界には街灯とかもある処はあるそうだけど普及はしていないようだし、あたりが暗くなればその分活動がしにくい。


 そのため、こういう依頼は野宿をするのが基本的になるそうだ。


「こういう薬草採取は良いんですけど、真夜中にしか出ないようなモンスター討伐は避けたいですよ」

「真夜中限定の逆もいるのか?」

「いますよ。朝早くのほんの数秒だけしかいない、ランクAでようやく受けられる依頼の類ですね」


 まだまだこの世界について知らないことは多いと、里宇は改めてそう思うのであった。


「ところで里宇さん、この依頼を受注しましたけど予想通りなら‥‥‥」

「仕掛けてくるとしたら、多分採取後の睡眠時だろうな‥‥‥」


 ハクロの言葉に、里宇はそう告げる。


 こういう夜中にまでかかるような依頼は、本来里宇たちは受けるつもりはなかった。




 けれども、こういう依頼をあえて受けて、誘い出してみようかと考えたのである。


 面倒事なら潰す。害になるなら徹底的に……あ、でもできれば逃げてほしいかも。流石に見ている側がトラウマになるような惨事は避けてほしい。




―――――――――――――――――――――――――――――――

SIDEゼクストリア騎士団:隊長ザソコーク


「良いな?今からあの魔物使いを襲撃するのだが、狙うはあのドッペルゲンガーだけだ」


 深夜、月夜の明かりのみの真っ暗な平原にて、里宇たちが野宿しえ散る処か少し離れた場所にゼクストリア騎士団の者たちが集まっていた。


 とはいっても、この場にいるのは隊長に従う者たちだけであり、数名ほどは抜けているのだ。


 隊長ザソコークは裏切りと判断し、切り捨てて恐怖で隊を縛っているようだったが、この魔亜mでは彼らに明日がないのは明白であった。


 なぜならば、騎士団が冒険者パーティーに決闘を挑んでひどいぼろ負けをしたし、なによりも隊長であるザソコークが機密でもあった種を使って不発し、処分が今か今かと迫ってきたのである。


 けれども、そこで終わりたくない者たちはここで賭けに出ることにした。


 自分たちがかつての栄光の時代の時のように、ワイバーンの代わりにもなるような強力なモンスターを従えることができればどうにかなるのではないだろうかと。


 そこで、ギルドへ決闘の翌日赴いて探したのだが、その時に知ったのがある魔物使いが連れていたドッペルゲンガーというモンスター。


 ドッペルゲンガーは様々なモンスターに化けることが可能であり、その能力ならばより強力なモンスターにも化けて、騎士団を立て直すための道具として扱えるのではないだろうかとザソコークは考えたのである。


 一旦ギルドにて交渉はしてみたが、にべもなくあっという間に断られるのはある程度の計算内。


 

 なのでここは力こそ正義、自分達こそが国を守るための騎士団なのだか絶対的勝者だと価値観的にも呆れられているようなザソコークの考えが無理やり通され、今こうして夜襲をかけようとしていた。



「ドッペルゲンガーに逃げられないように、眠り薬も強力なものを用意したよな?」

「しっかりと、どんなモンスターでもイチコロだという強力な奴を、街の医薬品店で買いました!!素早く嗅がせて拘束は可能です!!」


 ザソコークの問いかけに、部下がビシッと敬礼しながらその薬を出す。


「よし、出来るだけ証拠も残さずにドッペルゲンガーを手中に収める事のみを考えろ!!各自の健闘を祈るぞ!!」

「「「「「いえぇっさぁぁぁぁあ!!」」」」」


 ビシッとそれぞれ敬礼しあい、最終的な確認をすばやく騎士たちは済ませて夜襲に取り掛かろうとする。


 この強奪方法こそが、この騎士団が生き残るための最後の方法だと信じて疑わない者たち。




‥‥‥けれども、すでに数時間ほど前に抜け出した、騎士のふりをしていた者が国王に報告し、すでに処分を下されようとしていた事を彼らは知らなかった。


 彼らはやり過ぎた上に反省していない大馬鹿者たち。利用価値はない。


 そう判断されたことによって変える場所も失っており、そして今から行うはずだった夜襲も‥‥‥




「『爆裂魔法(エクスプロージョン)』!!

ミミックスタンプ(重量任せの押しつぶし)!!(`・ω・´)』

「チェンジ『ハンマー』デノ殴リン!!」


「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」


 察知したハクロたちによって、酷い返り討ちにあったのは言うまでもなかった。


 敗因としては、圧倒的実力差及び、傲慢によって相手の戦闘力をしっかりと見定めていなかったのが原因である。

ドッペルゲンガー「ルン」の化けネタ:その1「ハンマー」

ハンマーズが使用していたハンマーの事を覚えていたルンが、そのハンマーその物に化けて攻撃するという方法。がっつりとげとげしくて凶悪なものに変化しました。


‥‥‥そもそも、こいつらに攻撃を仕掛けようとしたこと自体が間違いであろう。

きちんと別のを探すなどが取れただろうが‥‥‥後の祭りである。

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