ランクアップ試験だった
不定期なはずだけど、出来るだけ日にちを開けたくないんだよな……
「ようこそ我がギルドでのランクアップ試験を受けてくれるFランクの冒険者諸君!!」
むきぃっと、筋肉質な体を見せつけるかのように、ポージングを決める目の前の男性を目にして、その場にいた者たちはどこからツッコミを入れようか迷っていた。
現在、里宇たちはこの都市デルべスタのギルドにて、ランクアップ試験を受けることにしたのだが……これがまた、案外多い。
スキップ申請でFからスタートしなくてもいい人たちがいるとはいえ、やはりFから冒険者になる人たちはいるのだろう。
それでも、目の前にいる筋肉ダルマな……あれでも一応この都市のギルドマスターと聞いて、その場にいたものたちは皆微妙な顔をしたのであった。
「なぁ、ハクロ。ここでランクアップ試験を受けるべきだったか?」
「いえ……なんかこう、別の場所で受けたいような気分になりますね」
『すっごいムキムキで、硬そう(;´・ω・)』
今すぐにでも、帰りたいような気分に里宇たちは襲われたが……まぁ、仕方がない。
何せ、目の前でムキムキしているギルドマスターの姿が暑すぎて、室内不快指数が急上昇しているのだ。
いや、気温も湿度も本当に上昇しているようで、どれだけ暑苦しい人物なのか皆理解できた。
「さぁ!!ランクアップをしたいのであればこの『筋肉魔人』の異名を持つマッスルンの肉体美に攻撃してその実力を見せて見たまえ!!」
数分後、カグヤたちの番を終えた時には、マッスルンとやらはポージングを決めたまま、氷像と化していた。
魔物使いであるカグヤの場合、戦闘を受け持つ従魔が攻撃すればいい話だったのだ。
そして、その暑苦しさに耐えられなくなったのか、ハクロは氷魔法で氷像にしてしまったのである。
だが……
ビキッツ、バキィッツン!!
「ふーはっはっはっはっは!!刺激的な感じでなかなかよかったぞ今のやつ!!」
「「「「復活早っ!?」」」」
「はいぃっつ!?今のは氷魔法の中でも融解するまで1時間以上はかかるはずの奴でしたのに……まさか、余りの暑苦しさで溶けちゃったのですか!?」
速攻で復活したマッスルンに、周囲の冒険者たちは驚き、魔法を放ったハクロもその予想外の展開に驚愕したようである。
「そんな従魔を連れているのならばD以上は確定だ!!明日また来て、その時に改めて君たちのランクを伝えるとしよう!!プロテイン君、今の記録をきちんと残してくれたまえ!!」
「そんな名前じゃないんですが!?あっしの名前はプテンですがな!」
どうやら記録を付けていたらしい職員が、ツッコミを入れたようであった。
……このギルド、あんなギルドマスターで大丈夫なのだろうか?
その場にいた者たちは皆、そう思ったのであった。
鋼の〇金術師を見て、ふと書きたくなった。
後悔はしていない……ネタが分かる人がいるかはわからないけど。




