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盗賊のアジトに侵入した

ちょっと真面目

……捕縛してとりあえず放置した盗賊たちのアジトは、案外あまり離れていない平地に作られた小屋にあった。


 おそらく元々は馬車とかが停車して休む場所だったのだろうが、ずいぶん前に放置されていたようでボロボロのようである。


「なんでこんなものが放置されているのやら」


 里宇(りう)の感覚で、現代風に言うならばパーキングエリアであろう。


 馬車がまだ近くを未だに通っているのか道はきちんとあるのだが、もはや風化を待つだけの建物である。


 こういうのは盗賊に利用されやすい、というかげんに利用されていたらしいがなぜ取り壊されずに残っているのだろうか。


「うーん、おそらくは国自体が把握していない民間のものだったんでしょう。人が全員で宿を創り上げていたりするのですが、おそらくほとんど流行らなくなって通過されまくったので、潰れたのではないかと」


 そして撤去費用とか、取り壊す手間とかを考えてもう放置されていたようだ。


 ハクロのその予想はおそらく間違っていないだろうと、里宇もコンゴウもそう思えた。




 そして現在、そこは盗賊のアジトとなっていたわけで、ボロボロの外見からは人が住んでいるようには見えないので、絶好の隠れ場所となっていたのだろう。



 一応、まだ盗賊たちの仲間がいないか確認してみたが、どうやら総出で襲撃をかけるやつらだったようで、もうすでにもぬけの殻のはずであった。


「聞き出したところによると、小屋の内部にあるのだとか……」



 中に入りこんでみると、意外なことに外観とは違って綺麗に整理整頓されていた。


 住みやすいようにしていて、なおかつ外部からだと人がいるのだとはわからないようにされていたのだろうが……なんか意外である。


 里宇の思い描く盗賊のアジトのイメージとしては、どこかの山中にある洞窟で、奪てきた金銀財宝などを乱雑において、整理整頓されていない汚い感じだったが……この世界の盗賊はなぜか整理整頓してきれいにする人が多いらしい。


「なんでかな?」

「そりゃ、襲撃する際に身分を偽って近づいたりするときに身なりが汚らしいと警戒というか、不快感を持たれますよね。そう言うのを与えずに、油断させるために綺麗にするんだそうです」


 なるほど、ちょっと納得したよハクロ。



 探ってみれば、出るわ出るわの蓄えられていた品々である。


「食料品が多いな……まあ、おいしそうだからいいけどね」

「普通に何かしらの魔道具(マジックアイテム)や宝石もありますけど、どうやら食いしん坊な盗賊だったようですね」

『捕らえられて慰み者にされているような人もいないみたいだよー(・∀・)』

「そんな人がいたらどうしようかと思っていたけど、いないならいい方かな?」

「そうですよね。そんなことをしていたら女性として怒って、頭ボンッてさせますよ」


 何気に結構物騒なことをハクロがつぶやいたその時であった。



「ん?薬品の詰め合わせかな?」


 ふと、その盗賊たちの蓄えていた品々の中から小箱を見つけてみると、いくつかの試験官のような入れ物に入った薬品らしきものがあった。


「どれどれ?ふむ……」


 元々薬品関係に関してはハクロは詳しいので見せてみると、何やら難しい顔になった。


「……これはなんというか、結構やばいやつですね」

「何かものすごい毒物なのか?」

「毒物ではないです。これを飲んだところで死にはしませんよ。ですが……これはちょっと面倒な薬品ですよ」

「というと?」


 


 ハクロの説明によると、この薬品は人に使うようなものではなく……どうやらお香とかそう言った香りを出すためのものに近いしい。


 香水のようなものかと思ったけど、それともまた違うらしく、その薬品の効果はというと……


「この独特の光沢と色合いの薬品と言えば、おそらく『魔物寄せ』です」

「魔物寄せ?」

「はい、簡単に言うならばモンスターをこれでもかという位大量に引きよせる薬品ですね」

『それ大変なことになるじゃん( ゜Д゜)Σ!?』


 ただ、今は消費期限というか、薬効切れのようなのでこぼれても平気らしい。


「確か……300年ほど前まだ私がリッチではなく人間だった時に聞いた話ですと、この量で一国がつぶれるほどのモンスターの集団が襲い掛かって来たと言います」


 それだけの効力があるので、売買は禁止されており所持するだけでも大罪になるらしい。



 そんな物凄く不味い薬品ガ、なぜ盗賊のアジトにあるのだろうか。


「どこかの誰かが持っていて、盗賊が奪ったのかな?」

「恐らくそうでしょう。ある程度知識がないとこの薬品の使い道も効果もわからないので、放っておいたのかもしれません。効力切れの状態ですので今ならまだ割れて中身がぶちまけられても何もありませんが、効力がある状態でそのような事が起きていたら……」


 想像しただけで鳥肌が立つ。


 そんな状況に巻き込まれたくもないし、どれだけ悲惨なこと担うかが目に浮かぶのだ。



里宇たちだってまだまだ実欲不足だとは思っているし、そんな状況に巻き込まれたらほぼ間違いなく全滅するだろう。


「問題は、この薬品がどこからあの盗賊たちが手に入れたのかという事ですね」

「ああ、奪ったものだとしても、その薬品を扱うやつがいたという事になるからな」


 里宇たちはその薬品の入手ルートを考えたが……考えたところでどうすることもできない。



 何しろまだ一介の若き冒険者でもあり、そこまで首を突っ込むようなことはしたくないのだ。



 とりあえず見なかったことにして、里宇たちはその小屋から離れるのであった。



……心の中で、その先に不安を覚えながら。




さてと、道中テンプレも起こしたいところである。

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