聞き出して
ちょっと短め
サバンの街を出発して早1週間。
もうそろそろ目的地である都市デルべスタの城壁が見えてくるそうだが……
「あと数時間ほどというところですね」
「それでもうそろそろというのかどうかが気になるけどな」
感覚的に「分」でとらえたいけど……「時間:でも「もうそろそろ」と言うようである。
うん、やっぱまだまだ自分は元の世界の感覚があるのだろう。
こういうところを無くしてこの世界になじまないと危ないだろうしなぁ。
そう里宇が思いながら歩を進めている時であった。
「ん?」
「どうしたんだハクロ?」
ふとハクロが何かに気が付いたような声を出したので、里宇は尋ねた。
「いえ、何か前方の方ですが……ああ、盗賊来てますね」
「盗賊かよ!?」
ここまでの道中、モンスターばかりだったのだが……まさかの盗賊の襲撃発生のようである。
「こういう盗賊との戦闘は避けたいなぁ……」
弱肉強食な世界とは言え、人が相手なのは気分が悪い。
罪悪感とかいうよりも、やっぱりなんとなく元の世界の感覚があるのだろう。
とはいえ、やらなければこちらがやられる。
覚悟を決めて、盗賊の掃討に里宇たちは動くのであった……
10分後。
「うぐあぁぁあ……」
「腕が……足がぁぁ……」
「(あぶく出して気絶)」
盗賊たち、殲滅完了☆。
「やってみると案外平気だったな」
「魔法で地面を凍らせてすべりまくらせた後に、ゆっくりフルボッコでしたからね」
『さてと、まだまだあるよー(・∀・)』
コンゴウのその言葉で、里宇たちは次の行動に移した。
今倒れ伏している特族たちの人数は10人弱。
これだけの盗賊たちが普通に野宿をしていたら目立つだろうし、付近にこいつらが住んでいるようなアジトがある可能性が高い。
そして、そう言う盗賊のアジトが案外お宝が多くあるのだ。
それらの発見者はその宝をものにできるようだし、盗賊の貯め込んだお宝を狙う盗賊狩りと呼ばれるような人たちがいるらしいからね。
なので、生きていた一人に丁寧に話をしましてアジトを教えてもらいました。
念のために盗賊たちは縛り上げてその場に放置である。
このまま都市の方へ輸送して、引き渡すという事も出来るのだが……コンゴウによると生きているから収納できないし、かといって運べるように処理するのも嫌である。
そこでここに放置して、とりあえずまずはそのアジトへ里宇たちは向かうのであった。
逃げられないかって?モンスターが出る世界だし、武器も没収しているからね……一人でいるよりも集団で集まっている方がまだ生き残る確率が高いだろう。
そのうち他の人達に見つかるだろうけど、どうやら賞金首とかもいるようだしすぐにお縄につくであろう。
世の中そう簡単には逃げられないのであった。
盗賊のアジトには何があるだろうか?




