サバンから出ていざゆかん!!
進むぜ新たなところへ!!
……サバンの街を後にして、里宇達はランクアップ試験ができるというおすすめのギルドへ向けて出発した。
とはいっても、徒歩である。
「馬車とかそう言うのを利用せずにただで行けるとはいえ、道があっているのか時々不安になるな」
「地図もありますし、馬車が何度も往復して自然とできる道もありますからいざとなればその道を辿ればいいんですよ」
『人のいるところには何とかつけるよ(・∀・)』
ハクロやコンゴウのアドバイスもあるけど、やはり不安になる物は不安である。
いや、現代日本なら携帯とかで道をすぐに調べられるけど、この世界だとまだそう言うのはないからね。
聞いた話だと、魔道具とやらの中に、遠距離での会話が可能な携帯モドキがあるそうだが……まぁ、高価らしいから早々手には入らないだろう。
「目的地はこの国のいくつもある都市や街のうち、『デルべスタ』という都市になるのか」
「首都の近くにあるようですが……うーん、300年ほど前に比べるとやっぱり変わってますね。聞いたことがありませんし」
ハクロは300年ほど前は人間だったので当時の事は知っているそうだが、それでもこのような都市名を聞いたことはないようである。
そう考えるとこのメンツ、世間知らずなことになるよな。
コンゴウはヘヴィーミミックだし、人の生活とかをよく知らないことがあるだろうしね。
とにもかくにも目的地へ進むのだが、時たまモンスターも襲撃を賭けて来た。
野生動物のようなものとはいえ、こうよく襲ってくるのもめんどくさいし、盗賊とかが来る可能性もあるんだよなぁ。
「『アイスニードル』乱発です!!」
『必殺タックル(/・ω・)/』
「このメンツだとあまり心配はいらないな…おっとどすっと刺すか」
はっきり言おう、このメンバーだと大抵の奴なら倒せると。
ハクロの魔法で遠距離から攻撃し、進化したことで体当たりでさえも凶悪な鈍器となるコンゴウで、その二人に指示を出しつつ、適度にナイフで相手を斬りつけてサポートする俺。
……うん、さっさりランクアップして適当なところに行ったほうが良いかもしれん。
まだ経験が少ないからという理由でFランクから始めているけど、ちょっとづつ慣れて来たよ。
この感じなら、Bまではいきたいね。
Aランク以上を目指す?貴族とかの依頼が多くなるそうだし、面倒ごとは避けたいね。
そう言えば、食料などの心配もあったのであらかじめ蓄えて持ってきたが……道中のモンスターだけでも十分足りる。
魔法石などは抜き取って、丁寧に血抜きと解体、コンゴウに収納してもらって食べたい時に食べる。
考えてみれば、コンゴウを従魔に出来たのは大きな利点だろう。
ミミックゆえの特性か、コンゴウは某ロボ猫の持つポケットのような能力があるようで、食料の保管ができるのだ。
たまにつまみ食いはされるとはいえ、他の衣服とか金銭とかも預かってくれるので前衛兼このメンバーにとっての大事な荷物持ちである。
その為、コンゴウのつまみ食いぐらいなら見逃す里宇であった。
「でも、余り多くつまみ食いするなよ?俺達が食べる分が無くなるからな」
『大丈夫だよー。きちんと考えているんだよd(´∀`)ノ』
にしても、本当にこいつどうやってメモに文字を書いているんだろうか。
会話が成り立つのが良いけど、はた目からすれば物凄く奇妙な光景だよな。
「そもそもミミックが従魔として普通にいるのも変な光景ですよ」
「そうなのかハクロ?」
「だってもともと人を食べるモンスターですからね。従魔にする以前に食べますって」」
『大丈夫。私は人間の肉は嫌いだからね(・∀・)』
「いや嫌いって……ん?その言い方だと」
前に人を食べたことがあるような言い方をしていないか……?
そう里宇は思ったが、なんとなく怖い質問だったので口に出すのをやめて飲みこんだのであった。
人食に関する質問はNG。関係を壊したくないんだよね。
しかしまぁ、段々里宇もこの世界に慣れて来たなぁ。




