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面倒ごとが起きました

騒動開始

……サバンの街に滞在して二週間ほどが経過した。


 月日の速さなどは一応現代地球と似たようなものらしいが、暦の読み方がやや違うようである。


 けれども、どれだけの日数が経過したかは一応里宇(りう)は数えていた。


 そして、このサバンの街で依頼を受け続けて貯めた金銭も順調にその額を伸ばしていた。


 このペースでもう少し貯めれば、また別の街にでも移動しようかと考え中である。


 食料とかは現地調達が可能だが、数日ほど前にちょっと便利なこと(・・・・・・・・・)を発見したので問題はない。



「にしても、ギルドが銀行の役割にもなるとは思わなかったな」

「そうじゃなければ、きちんと拠点がない冒険者たちが稼ぎを貯めておくところがありませんからね」


 ギルドにて、得た報酬の預金手続きを終えた里宇はそうつぶやき、ハクロはにこやかにそう答えた。


 冒険者たちだって、出来るだけ身軽でいたい。


 しかし、稼いだ金銭をきちんと所持したいというのが全員思っている。


 

 その為、ギルドでは銀行に似たようなこともしており、別の都市のにあるギルドとかでもきちんと金銭の管理ができるようになっているのだった。


 こういう時にギルドカードは便利で、きちんと個人を特定できるのが良いところであろう。


 なお、手数料は取られない。なぜならギルドカードで冒険者を識別しており、死亡した場合ギルドの方へ寄付されるようなことになるからである。


 もちろん、本人の意思確認によって他者への譲渡もあるのだが、基本的に身寄りのない独身が多いので、大抵ギルドが儲かることができるようにされているのである。


……世の中ってうまいこと出来ているんだなぁ。



『ねぇねぇ( ゜Д゜)』

「ん?どうしたコンゴウ?」

『あれ見て\(゜ロ\)』


 ふと、コンゴウがメモで何かを見つけたかのように指し示した。




「「「てーへんだてーへんだてーへんだーーーーー!!」」」」


 物凄い速さで、よっぽど焦っているかのような人たちがギルドに向かって駆けて行った。


 なんかこう、時代錯誤な慌てぶりのようだが何かあったのだろうか?


「今の人って確かこの街の冒険者だっけ?」

「パーティとして組んでいるグループと、ソロの人ですね。確か、平均Dランクの『角ドリル』というパーティと、Cランクのデストロンさんでしたっけ?」


 一応、他の冒険者たちも数が多いのだが、ある程度過ごせばそこそこ誰だったのかは大分わかるようになる。


 ただ、ハクロは意外にも全部覚えているようだった。


 そう言えば、実験失敗とかをやらかしていたりするけど、一応頭はいいんだっけ。


「でもそんな人たちが何でギルドに走っていくのか……面倒ごとの予感しかしないな」



 慌てすぎて転んでいたり、漫画とかで見るような走り方になっていたが……どう考えても何か問題が起きたようにしか思えないのである。



 一応、何が起きたのかは気になるので、里宇たちは一旦ギルドに引き返すことにした。





 ギルドに戻ってみれば、何やら慌しく皆動いている、


 一体何があったのか、手近な冒険者に聞くと……


「大変だ!!この街によりによって『オークキング』が率いるオークの群れが迫ってきているらしい!!」

「オークキング!?」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『オークキング』

「オーク」と呼ばれるモンスターの最終進化したモンスターであり、その強さはランクBの冒険者に匹敵、もしくは超えるとされている。豚の頭というのが一般的なイメージだが、オークキングになると豚のような人の頭になるらしく、知能もある程度高まっているらしい。


『オーク』

豚の頭に人の手、豚の体に足という、なんともちぐはぐな見た目のモンスター。強さは個体差が大きく、集団戦法を取ってくるため平均C~Dランクの冒険者並。

群れでまとまり合い、協力して子孫を残すために自分たち以外の種族の女たちを利用する。なお、人型の物を狙う。

なお、99%がオスなのだが、極稀にメスがいる場合があり、そちらは男を狙う。

恐怖の対象でもあり、食べるとうまい。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 その情報で、やっと里宇たちは皆が慌しく動くのが分かった。


 何しろ女性にとっては悪夢のようなモンスターであり、男性にとっても相手の性別次第では恐怖の対象になるのと、好きな人が奪われて慰み者にされる恐怖があるのだ。


 しかも、弱ければましなのだがオークキングはランクB冒険者並の強さ……強敵になるのは間違いないだろう。


「冒険者たちの中でDランク以上の奴らに声をかけろ!!腕に自信があればそのランクより低くても構わん!!」


 集団でオークたちが襲撃してくるので、今は戦力が一つでも欲しいところである。


「結構不味い事態になっているのか」

「今の里宇さんのランクはF……スキップ申請をしていればDからいけていたでしょうけど、今の私たちの強さだとちょっとまずいかもしれませんね」

『少なくとも、ハクロが一番危ないでしょ。リッチだけど人型のモンスターでもあるし、確実に対象に入るよね(´・ω・)』


 そう言えばそうじゃん。ハクロもリッチだけど人型のモンスターで、女性だからオークたちが狙う対象確定じゃん。


「いやですよ狙われるのは!?」


 その事に、ハクロも自覚したらしい。


 オークにハクロが……嫌だな、想像もしたくないほど絶対に嫌だな。


「となれば戦闘に参加したほうが良いかな。少なくともここで全滅させれば問題はない」


 危険だけど、戦闘に参加したほうが良いだろう。


 出来るだけハクロは後方からの支援で逃げられるようにして、後は俺とコンゴウと、その他冒険者たちで裁くしかないか。


 里宇はそう考えて、オークの群れ退治に加わることにしたのであった……

オークの群れか……すでに犠牲者が出ていないか心配である。

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