ようやくギルドに来ました
のんびりと進めている感じ。
……何やかんやありつつも、サバンの街のギルドに里宇達は冒険者登録をようやくしに入った。
冒険者になれば依頼を受けて生活資金を得ることができるので、出来れば早いうちに登録をしたかったのである。
だが、先ほどの武器屋でのミミックの事もあって、ギルドに里宇たちが入ったとたん、その場にいた冒険者たちの目線が集中した。
「さっきので目立ったかな」
「そりゃ野次馬が集まっていましたからね」
既に情報に敏い者たちならある程度の情報を集めているだろう。
また、里宇がハクロたちを従えていることから確実に魔物使いであるというのはわかるだろうし、そして何よりも……
「おい、あいつあの武器屋のごたごたにいたやつじゃないか?」
「ん?あの雰囲気、異界人とかじゃねぇか」
「ああ、そう言えば纏う感じが明らかに違うな」
里宇が異世界人であることは、その雰囲気からこの世界の人は理解できたようである。
異界人とかそう言った類は雰囲気でわかるようで、その理屈はよくわからないが、こういうことはすぐばれるらしい。
そこから、他の冒険者たちは少し警戒をしていた。
異世界人……この世界とはまた違う世界から、ある日突然現れる謎の多い者とされているようで、技術や知識を与えて豊かにする者もいれば、何思ったのか勘違い野郎が滅茶苦茶にしたりなどという事があるそうで、その為異世界人だと里宇をそう感じ取った人たちは、前者か後者かのことで警戒したのである。
……後者だったらさすがに嫌なのはわかるし、前者でもその手の事で狙ってくる可能性がある。
ある意味一番面倒な状態になったかもしれないのだ。
まぁ、そのおかげですぐにでも絡んでくる奴がいなかったので、受付に異状なくいけましたけどね。
テンプレ的な絡んでくる奴が来ないかなと思っていたけど……魔法を飛ばすリッチと頑丈さも武器であるミミックが従魔としているようだったら、それはそれで手を出しにくいだろうな。
と、ここで気が付いたが、周囲にある文字とかは……日本語に近い。
漢字などもあるので、過去のこの世界に異界人が文章の成り立ちに関わった可能性が高いのである。
そのおかげで、読めるし書くことも少々違うところがあるのを除けば不自由はないだろう。
ありがとう、先人の異界人(多分日本人)たちよ。
「あの、冒険者登録を行いたいのですが」
冒険者登録用の受付に向かい、そこの受付嬢に里宇は語りかけた。
「はい、新人冒険者登録をなさりたいのですね。それでしたらまずは……」
受付は受付で、きちんと対応をするようで業務的に行ってくれるようである。
そうこうしているうちに、何やら水晶玉のようなものが机から飛び出てきた。
「冒険者になるためには、ギルドカードを発行する必要があります。この水晶は発行用の特別製で、そのギルドカードが本人の物であると確認するために、個人差がある魔力の波長を感知する魔道具ですので、こちらに先にお触れください」
言われるままに、まずは水晶に手を触れた。
軽くぽうっと光ったかとおもうと、何やら機械的な音がして、
ぽんっつ!!
かなり軽い音でカードが飛び出てきた。
「こちらが貴方の魔力波長を記録したギルドカードです。仮登録扱い用なのでまずはこちらをどうぞ」
……なんかあれだな。100円を入れてカードが出たゲーセンのアーケードマシンみたい。
渡されたギルドカードとやらを見てみると、そこには名前だけが記入されていた。
「あとは詳しい事の説明をいたします。聞き終えた後にカードに必要事項を記入してもらい、もう一度確認の上できちんと発行をいたします」
この水晶っぽい奴で出たのは仮登録用。
ここに詳しく記入して、もう一度同じような道具を通して、そこでようやく本格的なのが発行されるらしい。
無駄手間のように思えるが、これが何とある対策だそうだ。
……よくライトノベルとかでチートな主人公が、この測定で水晶を破壊するようなシーンがある。
その事を考えて、自分が主役のように思えている異界人の勘違い野郎が、無理やり握って壊したりすることがあるらしい。
その為、異界人の事も考えて水晶を破壊するような問題児かどうかの見極めもしているそうなのだ。
本当に何やっているんだ他の異界人。
里宇は少々呆れたが、とにもかくにも問題児ではないように判断されたようなので、あらてめて詳しい手続きを踏まさせてもらうのであった。
お金を入れてカードが出るアーケードマシン。
良くムシ〇ングとかやったな…




