ⅣーⅡ
誰だってやっているとか、そんなことはないと思うけどな……。
でも俺は業界についてよく知らないし、アリスちゃんがそう言うならそうなのかな。
「そう思いなさい。誰でもやっていること、調子に乗るものではないわ」
カッコ良くそう決めてから、またアリスちゃんはドヤ顔をしてくれる。そこまで流れなんだね。
「前、唯織さんが夏海さんに言っていた言葉よ」
ああ、またアリスちゃんの言葉じゃないんだ。
でもそれだったらやっぱりさ、アリスちゃんがドヤ顔する意味が分からないんだよね。夏海や唯織さんが前に言っていたことを、今ただ言っているだけなんでしょ。
「それで、シングル出して貰えるん……」
アリスちゃんだったら、冗談よとか普通に言ってきそうじゃん。
「ええ、それくらい頼んであげるわ。園田家の力なめないで頂戴」
可笑しくない? 園田家は俺であって、アリスちゃんではないと思うんだ。
「園田家の力……? 夏海の力かな」
そもそもな話、夏海の兄補正で俺は声優やってるんだしさ。
「違うわよ。何言ってるの? 超エリート一族、園田家を知らないのかしら」
俺の名字だし、知らない訳ないと思うんだけど……。でも、超エリート一族って何の話だろうか。
「まあ冗談はこれくらいにして、そろそろ話し始めようかしら」
あぁ。やっぱり冗談だったんだ。
「えっと、どこから冗談?」
アリスちゃんの話だと、どこまで本当の話なんだか分からないんだよね。
「シングルを出すって話は大体本当よ」
よかった。けど、大体ってのはどうゆうことなのだろう。
「俺に曲を作って貰えると? そうゆうことでいいの……、かな」
何かやっぱり、……自分で言うのは恥ずかしいね。
いや俺だってね、恥ずかしがっちゃいけないって分かってるんだよ。だけどさ、俺の曲とか恥ずかしいじゃん。
「ええ、いいと思うわよ。私が頼めば許可出ること間違いなしね」
ちょっと待って。え? まだ頼んでもいなかったんだね。
まあこんだけ自信満々に言ってくれてるし、アリスちゃんを信じることにしようかな。
「そんじゃ、お願いします。……はい」
少し不安だって勿論あったのだが、頼んでくれるとのことなのでお願いはする。
「お願いされるわ。貴方は私のことを信じて待っていてくれればいいのよ」
そうだよね。どうせ俺に何かできるわけでもないし、アリスちゃんのことを信じて待つべし。
「でも、イメージは本当に妖精さんでいいの? 似合うとは思うけどさ」
そういやそうだったね。夏海が提案してくれた案だけど、男で妖精さんか……ちょっと辛い。




