ⅡーⅠ
「でもまたアニメイトとかに行って買い物して帰ると、さすがに使い過ぎでお父さんに怒られちゃいます」
夏海が稼いだお金なんだとしても、あんまりアニメグッズに使用されちゃうとね。お金は大事だよ! 無駄使い止めよう。
「残念ですが、お小遣いがもうないので帰りましょう。残念です、本当に残念です。残念なんですが、仕方がありませんよね」
そこまで残念かい? でもまあ仕方ないでしょうよ。
「何か欲しいものがあるんなら、別に買ってあげるけど……」
でも今日欲しいものがある訳ないんでしょ? じゃないんだったら、仕方ないから帰ろうよ。いつものように買い物してるんだから、お小遣いもなくなって当然。
「本当ですか!? でもお兄ちゃん、今日じゃなくても大丈夫です。あんまり買い過ぎたって、お部屋も散らかっちゃいますし」
残念そうに微笑んで夏海は、自然に会計を二人分済まして歩いて行く。
「お兄ちゃん、明日は学校ですよ? 早く帰りましょうか」
そうだね。夏休みに入ったらもっと、もっと遊びに来ることだってできるだろうし。だって俺達は特別ってなことで、部活も勘弁して貰ってるし。
そして翌日学校で隣のクラスの女子に話し掛けられ、その言葉に俺は驚愕することとなった。
「あの……、すいません。冬樹さん……、ですよね? あの」
髪はショートカットで綺麗な黒、眼鏡を掛けて引っ込み思案っぽい女子だった。
「えっ、はい。ですけど……」
どうすればいいんだろう、女子との会話にはなれて無くて……。
「ゆっきー、ですよね? あの園田冬樹さんですよね」
声優の俺のこと、知っているってことかな。だってゆっきーってのは、俺の愛称じゃないかこの野郎。夏海の奴、変な愛称付けやがって。
「茂之くんとか香菜たんとかセバスとか、それに何より智樹様を演じていらっしゃる園田冬樹さんですよね」
何だこの人、俺が出演している奴何でそんな知ってるねん。何でやねん、全キャラ級に知ってるじゃん。
「あ、ありがとうございます」
そこまで知られてると恥ずかしいけど、一応知ってくれてるってなことでお礼を言っておく。
「あたし、冬樹さんの大ファンなんです。んで調べてみたら、嘘でろみたいな感じになって」
大興奮なさって女子生徒さんは、嬉しそうに俺の手を掴んだ。俺の大ファン……か、そう言って貰えると嬉しいね。
「サインお願いできますか? ホンットに大ファンなんですよ」
どうすればいいんだろう、えっと……どうすればいいんだろう……。サイン? 対処法が分かんないよ。




