ⅢーⅡ
「あっ、貴方が冬樹さんですか? 夏海さんって、中学生なのに凄いですよね。礼儀正しいしいい子だし、お兄さんがズルくなりますよ」
その爽やかそうな男性は、見た目通り爽やかなイケボで話し掛けて来た。
「へっへーん、夏海は凄いんですよ」
その男性には聞こえないだろう小さな声で、夏海は俺に言って来る。礼儀正しい、いい子……? まあ、他の人にそうなんだったらいいだろう。
「夏海と『僕の翼』と言うアニメで共演した、鶴見千博さんです。『貴方と私の七日間』と言うアニメで、主人公の天城翔役をやっている凄い人です」
夏海の説明が終わると、千博さんは礼をしてきてくれる。取り敢えず俺も、礼をし返しておく。
でも『貴方と私の七日間』って、有名な奴じゃん。俺だって知ってるし、結構知名度高いんじゃないかな。それの主人公でしょ? 翔って、主人公のイケメンじゃん。超凄い……。
「こっちは夏海のお兄ちゃん、園田冬樹です。いっつも夏海に優しくしてくれる、カッコ良くて優しい自慢のお兄ちゃんです」
ニッコニコの笑顔で、夏海は俺をそう紹介してくれる。これだったらまだ、そこまでブラコンっぽくもないし。
「宜しくお願いします、冬樹さん」
千博さんは爽やかスマイルで、俺の手を取る。そして宜しくと、握手をして手を強く握って来た。俺はその行動に、少し戸惑ってしまう。
「よ、宜しくお願いします」
一応俺も宜しくと言い返し、手を握り返しておく。
「お兄ちゃん、そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ。鶴見さん、面白くて優しい人ですから。結構年上ですけど、全然そんな感じしないでしょう? 同級生って感じで」
にしても夏海、何気に褒めるの上手だよな。
「あはは、ありがとう。そう言えば冬樹さん、今回のゲームに出演してるんですっけ? 誰役なんですか」
え? 誰役って、誰だっけ。えっと、えっと……。
「茂之役ですよ」
俺が悩んでいると、夏海が助け舟を出してくれた。でも夏海、結構皆覚えてるんだな。
「茂之くんか、僕も狙ってたんですけどね」
狙ってた、か……。そんなこと言ったって、茂之? よりずっといい役やってるんだろうな。
「千博さんは誰の役をやってるんですか?」
俺は千博さんにも、同じ質問を返しておいた。
「脇役ですよ、脇役。お爺さんとか村人とか、その辺を五、六役」
ああ、そう言うのばっかりの人いるよね。でもこの爽やかボイス、モブお爺さんって気がしないんだけど……。




