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禁眼の吸血姫  作者: 榛名 怜
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第五十四話 贈り物

多々あったものの、私は当初の目的である今後の方針を三人に話した。


「ふーん。つまり、強い人間だけを殺すってこと?」

「そういうことになるのかな。弱い人間は私の魔物でも殺せるっぽいからね」

「殺す機会が減るのは嫌だけど仕方ないわね」


ノアとルナは私の提案を心良く受け入れていたが、約一名呆れた様子の者がいた。

頬に小さな紅葉をつけたクレハだ。何故紅葉が付いているかと言えば、あの野郎、私の胸を揉んだ時にさり気なく私の下着を懐に隠していたのだ。主への不意討ちといい、下着泥棒といい私のモノという自覚がなさすぎる!


「うん?どうしたのクレハ?」

「いや、何ていうかお前らユーノ街の人間を本当に皆殺しにしてたんだな」

「そうだけど。もしかして信じてなかったの?」

「そういうわけではないが……それだけの人間と戦ってそんなことに今頃気が付いたのか?」

「「「うん?」」」

「はぁ……そもそも人間っていう種族はそこまで強い種族じゃないんだぞ。というかアリスの虎目ノ計測(アザゼル)ならそのくらいわかるんじゃないか」

「無理。だって私の虎目ノ計測(アザゼル)はそもそもそういう能力じゃないもん」


私の虎目ノ計測(アザゼル)は対象の真理を見通す能力であり、魔法が対象であれば魔法の効果、物であれば構造、原理を見通す能力だ。クレハは私の虎目ノ計測(アザゼル)を全知の力か何か勘違いをしているが、そもそもそんな能力はない。あくまで対象を計測し分析する力なのだ。


虎目ノ計測(アザゼル)でわかるのは、精々相手のレベルとか『贈り物(ギフト)』くらいだよ。まぁ技とか魔法、装備とかもわかるけど人間そのものの知識とかはわかんないんだよね」

「なるほど。相手の力を計る能力ということなのか」

「うーん。そんな感じかな。だからノアとかルナの『贈り物』とかも私は把握してるよ」


私は未だに自分の『贈り物』を隠している二人に目をやった。

私が二人の『贈り物』を知っていると知った二人の反応はというと。

ノアはあまり気にする様子もなかったのだが、ルナはおおいに取り乱した。


「うん。別に私の『贈り物』は問題無い。あんまり戦いに関係ないから言わなかっただけ」

「な、な、なんで私の『贈り物』知ってるのよ!ま、まぁ私も戦闘にあんまり関係無い雑魚贈り物だから言わなかっただけだからね!」

「ふーん。あれが雑魚贈り物なんだー。私はとっても強いと思うんだけどなぁ」

「そうなのか。いったいどんな贈り物なんだ」

「うん。私も気になる」

「も……ど……く……」

「ん?よく聞こえなかったんだが」

「私も聞こえなかった」

「だから『猛毒』よ!『猛毒』!もうこれで満足でしょう」


ルナは顔を真っ赤に染めながら叫んだ。

そんなルナの様子をノアが無視することはなく、案の定ノアはルナをからかい始めた。


「ルナは猛毒でも私、気にしない。でも、もう私とアリスには触らないでね。ルナ菌に感染するから、ぷぷぷ」

「にゃーー!」


ノアの低レベルな煽りにルナが乗った。ブチ切れたルナはノアに飛びかかるように襲いかかった。

だが、ノアもその動きを読んでいたと言わんばかりに簡単にルナの攻撃を避けて見せた。


「はぁノアあんまりルナをからかわないの。ルナもノアの挑発に乗らない」

「はーい」

「ぐぬぬぬ。アリス!コイツの『贈り物』は何なのよ!私だけ暴露させられて卑怯よ」

「卑怯って自分で言ったんじゃん」

「ん?何か言った?」

「言ってません」


有無を言わさなぬ眼力で私を睨むルナ。私は耐え切れずノアに助けを求めた。

ノアはやれやれと言った様子で言った。


「はぁ仕方ないなぁ。毒猫に私の『贈り物』を教えてあげる。私の『贈り物』は『追跡者』。対象の後をどこまでも追跡する能力。これで満足?」

「追跡って——『ストーカー』ってことよね?」

「違う。全然違う。毒猫あんまり変なこと言うとぶっ飛ばす」

「ふん。やれるもんならどうぞストーカー犬」

「コラ!喧嘩しないの!」


まったくこの二人は何かあればすぐ互いをからかって喧嘩するもんだから困ってしまう。


「なぁ俺の話に戻っていいか?」

「あぁごめんクレハ。えっと人間の強さの話だっけ?」

「まぁそうだな。人間は脅威ではあるが、全員が強いってわけじゃない」

「どういうこと?クレハ説明」

「つまりだな——」


ノアに促される形でクレハは人間がどういった種族かという説明をした。


クレハ曰く、人間という種族は元々は何の特徴も持たない最弱の種族だったという。しかし、ある時から他者の命を奪う度に強くなるという所謂『レベル』という概念を獲得した。けれど、レベルを上げたとしても低いレベルではたいした効果は見込めないらしい。

では、なぜ人間がここまで私達の脅威になったのかと言えば、それは一部の高レベルの人間達の影響だという。人間という種族はたとえ成人の男性でも低レベルであれば、獣人の子供にも劣る。しかし、レベルが三十を超えると人間という種族は劇的にその力を増すのだという。また、高レベルの人間は肉体的な性能だけでなく寿命も通常の人間よりも長くなる。そのせいで高レベルの人間が徐々に数を増していき、人間という種族が勢力を増し、私達の生存を脅かしているのだという。


「なるほど、理解した。なら、結局アリスの作戦をやるんでしょ」

「まぁそうなるんだが……はぁまったく、もう少し俺達の敵について理解しないといつか足元掬われるぞ」

「はいはい、わかってますよ。でも私だって強いよ」

「そうだな。だが、油断は禁物ってことだ」


その後、細々とした確認をすると私達は新しい獲物のもとへ向かうことにした。


「それじゃ行こうか。私達の新しい獲物のもとへ」



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