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禁眼の吸血姫  作者: 榛名 怜
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第四十八話 完全掌握

すみません、遅れました……。

昨日、私達は森の移動中に人間を襲い、そこでクレハが人間を本当に殺せるかどうかを試した。

結果、クレハは実にあっさりと人間を殺して見せてくれた。

翌朝になっても殺したことでの変化も見られず、つくづく私の仲間になる女の子たちは怖い子だ。


さてクレハが人間を殺せるということを証明したところで次にやることはクレハの戦闘力の確認だ。

本当ならこちらが先にやることなのだが、手ごろな獲物が先に手に入ってしまったのだから仕方がない。


そして現在、クレハの戦闘力を確認するためにノア達と模擬戦闘をしてもらっているのだが、結果はクレハの圧勝であった。

ノアとの模擬戦では、ノアの放った結晶魔法を魔力で強化した刀で切り伏せ、あっさりと距離を詰めノアの短剣を弾き飛ばして勝利した。

次にルナとも模擬戦をしたのだが、こちらも月光魔法で分身したルナを全て刀で斬り捨て実にあっさりと勝ってしまった。

クレハの持つ『贈り物』『刀』の影響もあるのだろうが、それ以上にクレハの使う身体強化の魔法がこの結果を生んだのだろう。

高速で襲いかかってくる水晶の礫を把握する動体視力、そして全てを一撃で迎撃する筋力、機動力など流石は戦闘民族といった強さであった。


「お疲れ様みんな、ノアもルナもボコボコにやられたね」

「うるさい。クレハは鬼人、戦闘民族だもん」

「そうよ、なんで捕まっていたのか不思議なくらい強いんだけど」

「すまない、二人とも強くて加減ができなかったんだ」

「はいはい、二人は回復薬飲んで少し休んでいて。クレハも一応飲んでおいて、次は私と戦ってもらうから。悪いけど二人ほど私は弱くはないからね」

「アリス、生意気」

「クレハ!そいつをボッコボッコにしてあげて」


私は三人に回復薬を渡すと模擬戦の用意をした。

いつも使っている二本の刀ではなく、普段使っている刀より少し長い刀を一本と投擲用のナイフを数本を腰に取り付けた。

回復薬を飲んだノアとルナは木の影まで移動し、クレハも模擬戦の用意をしながらこちらに来た。


「アリス?お前は二刀流ではなかったのか?」

「あぁこれ?ハンデだよ。クレハを負かすのに二本もいらないもん」

「ほぉう。後悔してもしらないぞ」


私の言葉を挑発と受け取ったのかクレハは、ムッとした表情で刀に手をかけた。

私はさらにクレハを煽るように言葉を掛けた。


「これだけじゃハンデが足らないね。私に攻撃を当てればクレハの勝ちでいいよ」

「アリス、あんまり俺を舐めると痛い目にあうぞ」

「ふふふ、それじゃやろうか」

「あぁ」


最初に動いたのはクレハではなく、私であった。

私は腰に挿した投擲用のナイフをクレハに投げ、距離を取った。

ナイフに一瞬クレハは驚くも、最小限の動きでナイフを刀で叩き落した。


「さぁて私も少し本気で行くよ『玻璃ノ未来(ラプラス)』『虎目ノ計測(アザゼル)』」

『ようやくお嬢様に私達の力を示す時が来ましたね』

『お嬢様、見ててね』


私は右眼を玻璃、左眼を虎の様に変えた。

だが、これまでとは力の使い方は違う。

今までは自力で、現在を計測し、未来を覗き見ていたがそのために割いていた力、思考を全て戦闘に回せるのだ。

距離が開いているうちに私は上空に魔法を打ち上げた。


「『鋼鉄の槍(アイアン・ランス)』」

「ふ、どこに打っているだ。そんな無駄なことを……『能力強化レベルアップ』」


クレハは魔法で自身を強化し、身体能力を跳ね上げた。

魔法によって強化された脚力で、開いていた距離を一瞬にして詰め寄り刀を抜いた。


「戦刀流抜刀術三番 無花果イチジク

「まだまだだね」


地面からすくい上げるように放たれた凶刃は、しかし私に触れることは叶わず、顔を目の前を通過していった。


「まだだ、戦刀流 キク鳳仙花ほうせんかカエデ

「残念またハズレだね」


クレハの放つ攻撃を私は刀を抜くことも無く避けていく。


「さて次は私の番だね。いくよ、戦刀流抜刀術三番 無花果」


私は先ほどクレハが放った技をそっくりそのままクレハに放った。

だが、流石に自分の技で負けるといったことはなく、クレハは私の斬撃をいともたやすく迎撃した。

しかし、上空から迫る攻撃にはそうはいかなかった。

私が最初に放った鋼鉄の槍が重力によって落下してきたのだ。

串刺しにすると思われた攻撃だが、クレハ上からの攻撃にも反応して見せた。

しかし、完璧に迎撃することはできずに肩や腕を幾分か切り裂いた。


「あちゃーやっぱりこれじゃあ決めきれないか。まぁいいや、さて準備運動はこのくらいにしようか」

「準備運動だと?」

「そうこれからが私の本気だよ。行くよ『虎目ノ計測(アザゼル)』」

御意、我らが姫様(イエス・ユアハイネス)完全掌握(ジ・オリジン)』』


私は自身の魔力を虎の眼の様に変わった左眼に集中させた。


「いったい何を……」

「ふふふ、クレハ私は貴女の全てを把握したよ。さぁここからが本番だよ」


私の眼に宿る悪魔の力を私は行使させた。


そこからの模擬戦は一方的なものであった。

クレハの攻撃は全て封殺され満足に攻撃も防御もできなくなってしまった。

懸命にクレハは応戦するのだが、技はすぐに模倣され自分に返ってくる。


「ど、どういことだ?」

「さぁどういうことでしょう?まぁそろそろ終わりにしようか。戦刀流奥義 桜花爛漫オウカランマン

「な、なんで——」


私はクレハがこれまでに一度も使ってない技をクレハに放った。

クレハは動揺のあまり、私の剣技を回避することができず吹き飛ばされてしまう。

幸い攻撃の直前に魔力で包んでいたため攻撃のほとんどは打撃になっているのだが、それでも戦闘不能の状態にするには十分な威力であった。


「あ、やばいかも」


自分でも想像以上の威力が出てしまった一撃に驚き、冷や汗が出た。

私は急いでクレハのもとに駆け付けた。


「あぁぁクソ、負けた」

「クレハ大丈夫?」

「ああ。多少痛むがどうってことない」

「ごめんね、少しやり過ぎちゃったよ。クレハが面白いくらい驚いてくれるからさ」

「はぁ挑発に乗って熱くなっちまってこのざまか……」

「ごめんよ」

「はぁ……いいさ。それよりなんでアリスが戦刀流使えるんだよ。しかも奥義まで」

「えっとそれは——」


私は先ほど私が使った力について説明した。

完全掌握(ジ・オリジン)』は『虎目ノ計測(アザゼル)』の能力を技とし昇華したものである。

完全掌握(ジ・オリジン)』は対象の全てを観測し、対象の使う能力、技能など全てを自分のものにする技である。

今回はクレハを対象に使い彼女の技、技量をそのまま使わせてもらったのだ。

そのため彼女の見せていない技も私が使うことができたのだ。


おまけに『玻璃ノ未来(ラプラス)』の未来視によってクレハの次の動きを予知することで、予備動作すら視ずに行動を封殺することができたのだ。


私自身ここまで『禁眼ディアボロス』が強力な能力であるとは思わなかった。

だが、いくら未来を見ることができても、相手を模倣する力を持っていても『勇者』には勝てないのだから本当に嫌になってくる。


私が先ほどの戦闘について語っているといつの間にかやってきていたノアが口を挟んできた。


「ねぇ。お腹すいた」

「私もお腹すいたわ。その話はご飯を食べながらでもいいんじゃないかしら」


お腹を抑えながら空腹を訴えてきた二人に私はやれやれと言った表情を浮かべながらも賛同した。


「そうだね。それじゃあ一先ずご飯にして、休憩しようか」

「わかった」

「食べ終わったらもう一周やるからね」

「うん」

「わかったわ」

「アリス次は『禁眼』抜きで俺と勝負して欲しい」

「ふふふ、クレハって負けず嫌いだね。いいよ、『禁眼』無しで勝負してあげる」


その後、ご飯を食べ終わったあと模擬戦をしたのだが、『禁眼』無しの模擬戦でも私に勝てた者はいなかった。

ノアやルナは当然のこと、クレハにもギリギリ勝つことができた。


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