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禁眼の吸血姫  作者: 榛名 怜
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第十三話 魔法

遅くなりました。

一夜が明け、私達は三人で朝食を取った後、魔法について私は、二人に教えることにした。

魔法を扱うことに最も秀でた種族である、エルフを義母に持つ私は魔法について散々叩き込まれたのだ。


義母は私に魔法を教えるとき、いつもあることを私に言っていた。


曰く魔法とは、神様の与えた奇跡でもなければ、特別な力でもない。

曰く魔法とは、自身の魔力を対価に自分の望む事象、世界を強く思い描くことで世界を改変する世界との取引であると。

曰く魔法とは、重要なものは魔力の量ではない、最も重要なものは自身のイメージであると。


世界をどのように変えたいか、自分が何をしたいかを明確にイメージできないと魔法は発動すらしない。

無駄に魔力を消費するだけで意味をなさない。

しかし、言い換えれば対価を支払いイメージさえできてしまえば不可能を可能にすることもできる。


魔法は、世界に与える影響が大きいほど必要とする魔力は膨大になり、魔法の難易度は跳ね上がる。

対価の魔力が多いほど魔力の制御に思考を割くため、イメージが不安定になりやすい。

その結果、魔力の制御に失敗すれば魔力が魔法に変換される前に暴発したり、イメージが不鮮明で不発に終わったりする。

対価の魔力を支払うことができ、魔力を完璧に制御ができれば、森を焼き尽くすような魔法、目に見える範囲全てを凍てつかせる冷気を生み出す魔法さえ発動することができる。

それどころか不老不死、死者の蘇生ですら対価を支払えれば不可能ではない。


しかし、当然魔法にも才能や得手不得手が存在する。

火の魔法が得意でも、水の魔法が使えないということもざらにある。

確固たるイメージができていても、無意識に別のイメージが邪魔をするのだ。


その結果、平凡な効果であるが多様な魔法を使う者と、強力だがある分野にのみ特化した魔法を使う者と一般的に分かれているのだ。

前者を魔法使いと呼び、後者を魔導士と呼ぶ。

二人ともおそらく魔導士であるが、魔導士でも決して他の分野の魔法が使えないというわけではない。



「つまりイメージが固まってないから魔法が上手く使えないってことなの」

「少し違うかな。イメージが違うから上手く扱えてないって感じかな」

「いったいどういうことよ」

「ノアもルナも欲しい結果だけを求めて魔法を使っているから必要以上に魔力を使っているんだよね。特にノアは魔力の制御もできてなくて、魔法のイメージも抽象的だから余計に魔力を使っているんだよね」

「どうすればいい……」

「イメージの仕方を変えて、魔力の制御を練習するしかないかな」


魔法のイメージはただ起こしたいことをイメージすればいいというわけではない。

魔法は非現実的なことをいかに現実的にイメージするかがカギとなる。


「二人とも指先に小さく火を出してみて」


二人は私の指示通り指先に小さい魔法陣を生み出し火を灯した。


「このくらい余裕」

「簡単ね」

「そう?それじゃ二人とも次は私の言う通りに魔法を使ってみて」

「「わかった」わ」

「まずは目を閉じて体に流れる魔力を意識してみて」


魔力とは、基本的に全ての生き物に大なり小なり持っているもので、普段は体を血液の様に流れ必要に応じて消費される。

全ての魔力を消費すると、魔力不足エーテルアウトと呼ばれる酩酊状態に陥ってしまう。

魔力は消費しても時間とともに回復し、自然に回復するには睡眠が最もよい手段である。

もちろん瞬時に回復する手段も存在する、それは魔法薬での回復だ。

魔法薬は、普通の薬品と比べ非常に高価で、入手が困難な品物であるため魔力の残量の管理は戦闘においてとても重要なことである。



「次に体に流れる魔力をゆっくり、ほんの少しだけ指先に集めて」

「指先に集めた魔力を火に変えて……」


ポッと二人の指先に魔法陣が浮かびあがり再び火が灯った。


「どう?さっきと違うでしょ」

「うん……魔力の消費量が全然違う」

「えぇ……さっきよりずっと少ない量で使えたわ」

「魔法っていうのはね、起こしたいこと、やりたいことをそのままイメージするんじゃなくて、魔力を何に変えて何をするかをイメージするのが大切なの」

「なるほど……魔力の制御はどうやれば上手くいくの」

「さっき魔法を使う前に魔力の流れをイメージしたでしょ。魔力の流れ、動きを意識して魔法を使えば上達すると思うわ」

「つまり今みたいに魔法を使えば魔法が上達するってことね」

「まぁそうかな。魔法は使えば使うほど洗練されていくの。魔力の流れる回路が太く強くなるからね。それじゃあ今日は二人とも魔法の練習ね。魔力不足エーテルアウトは気にしないでいいよ。魔力回復の魔法薬はたっぷりあるから」


私は収納魔法から大量の青い液体の入った瓶を大量に取り出した。


その日は結局、魔法の練習だけで終わってしまったが二人は確かな手ごたえ感じていた。

教える前とはくらべものにならないほどに成長した。


「アリス、明日は何をするの」

「明日は獲物を狩りに行くわ。ついさっき私の下僕が見つけたの」

「アリス、それって魔物か何かなの」

「いや違うよ。でもそんなに数はいないわ。だいたい四十前後かしら」

「そう。遠い?」

「歩いて三日くらいかな」

「わかった。明日は移動?」

「うん。できれば夜までにあっちについて、深夜に殺すかな」


私とノアが明日の予定について話すなか一人おろおろとしているものがいた。ルナだ。


「あ、あの。話についていけないんだけど……」

「ルナ、バカなの」


ルナが申し訳なさそうに言うと、ノアはルナを煽るように笑った。


「ば、バカってあなた達の会話は色々省きすぎなのよ」

「落ちついてよ、わかったちゃんと言うから」


私は明日の予定を丁寧に二人に伝えた。

簡単に言うと人間を見つけたから明日殺しに行くよ。

歩いて二日くらい距離に二十人前後いるから、明日は移動します。

ということである。


明日は、朝一から移動をすることにした私達は、晩ご飯を食べると明日に備え早めに睡眠に入った。


始まったばかりですが、更新頻度を少し落とします。

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