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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので女子ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第六章 過

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第91話 唯壊 VS ゾビィー

 ニシミヤライトとシルフの戦いが始まった同時刻、ゾビィーはルクツレムハ征服国の中央部にまでやって来ていた。


 東部と南部に雑兵(ぞうひょう)を出現させ、自分だけ中央を訪れたのは兵力の分散が狙い。その間に王の首を取る算段だったのだが、当ては外れた。



(ここにいない?)



 征服王が数々の国を属国にし、思うがままの生活をしているならば、その国の中央部で暮らしているのは当然というのが、ゾビィーの予想だった───がしかし、民は居ても肝心の王が居ない。


 王城がもぬけの殻である事実を、ここに来て初めて知ったのだ。



(なら、どこ……?)



 国の全体図把握や情報入手は必要ないと思っていたのが裏目に出た。常識や普通が通用しない。だがそれで、作戦変更が余儀なくされるわけではない。


 支配者が居ないのなら、方法を変えればいい。征服王と言えど、所詮は人。南部と東部の侵攻を食い止めるよう、配下の者を配置した時点で、情がきっかけで表舞台に出てくる可能性は十分に考慮できる。


 要するに、この地でもまたゾンビを出現させればいいだけのこと。幸いなことに、生贄となる人間は多くいる。管理が行き届いていないことも好都合。能力を発動しても、直ぐに気取られることもない。撒き餌は確保できる。


 と、そう思っていた矢先───



「何してんのよ?」



 建物から顔を覗かせたのは、自分と同じくらいの背丈の女性。


 但し、その()()が普通でないのは、一目見て理解。


 内から溢れ出る気配(オーラ)がドス黒いのだ。桃色髪の可憐な容姿からは、想像もつかないほどに殺意は剥き出しも、この程度で怯むゾビィーではない。


 内面と外面が違うくらい、どうということはない。修羅場の経験は、過去にもある。


 それに───



「君が僕の相手?」

「そうね、文句ある?子供(ガキ)

「いや……」



 こんな風に煽られ、下に見られる経験は良くある。これもまた好都合。齢14程度の少年と油断しているなら、大した相手ではない。


 ゾビィーは、少年ではなく青年相当。


 30年以上生きているのに容姿が変わらないのは、能力の付随効果。


 人をゾンビにする際、精気(エネルギー)の一部を吸い取ることで肌は若いままなのだ。



(君も、ゾンビにしてあげるよ)



 既に、この地の3割の人間はゾンビ化した。時期に、全てのみ込む。


 直接触れなくても、()()()()()が次々と襲うことで、肉に飢えた徘徊軍が完成するのは能力の良点(メリット)


 彼らが狙うのは生ある存在のみ。使用者のゾビィーは省かれるため、次なる獲物は少女。


 腐食した肉は、怒涛の波壁のように少女の身を覆い尽くす。








◇◆◇◆◇◆







 少女……もとい、成人女性の唯壊(ユエ)は、不用心にも欠伸(あくび)をしている。


 更には移動もしなければ、攻撃動作(モーション)もない。


 その場に棒立ちしているだけ。だが、それが彼女の戦い方。何も問題はない。突っ立っていても、怪我することはない。反対に自分に触れた者から先に死んでいく。


 “破壊者(デストロイヤー)”という能力は暴力を体現している。


 それ故に、技は無い。


 守護者の中で、技を所持しない者は幾人かいるが、その中でも唯壊の力は圧倒的だ。


 容姿の近い夢有(ムウ)も該当はするが、力の差は歴然。



(ふはぁ、退屈なのよ)



 人間は弱い。ゾンビ化しても脆い。肉体が向上した者であっても、それは変わらない。例外なしに順に壊れ、崩れていく。噛み付こうとする者は、その歯から血から、能力効果でさえ破壊していく。後には何も残らない。ゾンビ化した民の遺骨は拾えない。


 慈悲が無いと言えば間違いないが、唯壊には何の感情も無い。


 大事なのは、創造主のジュンだけ。それ以外の命は、不要な存在。ジュンさえ生きていれば、どうにでもなるのだ。主は強い。


 日頃こそ、独占欲強めの愛情表現しかしない唯壊だが、ジュンのその能力の凄さには尊敬を越え崇拝し、神のように崇めている。自分もペータン教という、1つの信仰対象になっているが、その比ではない。


 天と地ほどの差がある。


 唯壊の能力は最強に近いが、その上を越えてくる。


 守護者では創造主には勝てない。全員が相手してもだ。だからか、常々褒めて欲しい、構って欲しい、自分だけを見て欲しいと想いを寄せてしまう。


 今回の戦いもそう。


 接敵の観点から配置こそ恵まれなかったが、敵の首魁は唯壊の前に現れた。


 運は転がり込んで来たのだ。


 この偶然(チャンス)を活かす他ない。



(レイ)には渡さない、紅蓮(グレン)にだって……ジュン様は唯壊のものなんだから)



 そのための見せ場は、とうに揃った。


 活躍は確定事項。


 敗北など、決してない。


 それが唯壊、破壊者(デストロイヤー)、唯一無二の壊すことだけに特化した存在。



(一気に行くわよ)



 立ち尽くすだけの戦いは終わり、これからは攻めの時間。


 腐食していた大地諸共、破壊していく。


 唯壊を中心に起きる崩壊は、やがて中央部全域へと広がった。








◇◆◇◆◇◆







 想像していなかった光景に、ゾビィーは放心していた。


 自分の能力は過去に2()()しか使用してないとはいえ、脅威度は最高クラスと自認していた。


 【聖なる九将(ホーリーナイン)】という組織で管理されるくらいなのだ。


 簡単に対応できていい筈がない。それすなわち、相手も脅威ということ。



「なんで……」



 ゾンビ兵も、腐蝕も、大地の枯渇も、意味を成さずに破壊されていく。ゾンビ化しないことにも驚きだった。何かの障壁で守られているのかと思いきや、そうでもなかった。系統は違うが、能力の上位互換の類。

一方的な仕打ちには笑うしかないが、笑う事を忘れたゾビィーにそんな顔は作れない。


 ただ呆然とするだけ。だがこのままでは終われないし、終わらす気もない。



「“全部壊れてよ(マージ・パージ)”!!」



 破壊される前のゾンビを1つの塊へと変貌させる。彼らが踏み荒らした、腐れ枯れた大地に立つ木々や岩、崩れる前の建物も集束されていく。


 全てが融合し、ゾビィーの身体を包む。大地の化身は少年を護る盾。全長20m超えの化身は、変わらず腐蝕効果を持つ存在。


 手足として形成された硬く鋭い木々は、血管のように張り巡り、自由自在に動いては敵を貫く、ゾビィーの必殺形態。



「少しはマシになったじゃないの」

「君を殺す……次は征服王……」


「壊れ終えるまでに理性が残ってるといいわね」

「大……丈夫!!」



 伸びる腕はしなやか。何重にも折り交わることで、強度は十分。簡単には切れない。触れたものを破壊する能力と、触れたものを腐蝕する能力。前者の方が圧倒的上位だが、化身の腕が壊れることはない。



「ふぅん」



 これまで蓄えた精気(エネルギー)があるからだ。それを逐一使用していれば、破壊を防ぐ……というよりは復元している。


 そういう意味で言えば、征服王ジュンの能力や、その守護者たちが使う“半自動治癒(オートキュア)”の要領に近い。



「無駄だよ」



 互いの効果は、ほぼ打ち消し合い状態。化身の方が面積が大きい分、薙ぎ払うのは容易。質量も今はゾビィーの方が上なのだ。


 華奢(きゃしゃ)な身体も吹き飛ぶというもの。


 こうなった以上、ゾビィーの優位性は確実。


 そう思ったのも束の間───



「いい加減にして」



 突如として、化身の腕は壊れる。



「んなっ……!?」



 崩壊が進む。


 急な(パワー)負けは、能力向上ではなかった。



(そう……か、まだ彼女は攻撃してなかったんだ……)



 唯壊は最初のゾンビ同じく、身体に触れたものに対して破壊攻撃をしていた。


 今は素早く動いてはいたが、突っ立っていた時と何ら変わりなく、自分から攻撃していたのではない。だから、手を伸ばし掴まれた際に、化身の腕は壊れたのだ。


 ただ、まだ復元できないことはない。


 精気(エネルギー)の余分はある。


 それに───



()()を叩き込む!)



 掴まれ壊れた腕を復元しつつ、血管木々を広げて掴み返す。


 身動きとれない縛り上げの状態。



(これな……ら……)



 化身の足は地下深くにまで届く。根を張り、固定砲台を作り出し、その口から咆哮する精気砲は同様に腐蝕効果をもたらす。


 逃げ場はない。



「“全部(アルティメット・)終わらせる(エネルギー・キャノン)”!!」



 言葉通りに全てを終わらせにいったゾビィー。


 しかし───



「──チンケな技ね、名前も厨二病くさい」


「え…?」



 全身に能力を浴びたにも拘らず、汚れ1つとしてなかった。


 ゾビィーの全力攻撃は無意味に終わった。



「あ……」



 崩壊する化身の腕、足、顔……、ゾビィーの身体を護る盾は丸ごと消滅する。


 敗北を喫し、打ちひしがれた、生身の身体がそこにはある。



「楽になりなさい」



 精気の無い人形。


 少年は足先から脆く崩れて行く。





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