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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので女子ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第五章 聖なる九将

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第82話 女湯

 豪華な料理に舌鼓(したづつみ)したあとは温泉、各々の判断で数種の秘湯に浸かり始める。男湯女湯と別れていることで、主のジュンはこの場にはおらず、ついてくる必要の無かった者達と一緒に湯に入っている。



(友好を結ばなければ排除していました)



 そう言うのは(レイ)。髪留めして、礼儀正しい所作で湯に浸かる。


 近くには、他に唯壊(ユエ)紅蓮(グレン)がいる。


 零にとっては、あまり仲良く話す間柄ではないが、嫌っているわけでもない。単なる好敵手という認識も、互いが互いを理解しているからこそ。



(まぁ今回、一番意外だったのは(スイ)ですが……)



 温泉慰労会は、全守護者に念話(メッセージ)が入った。


 参加しなかったのは、古城レムハで世界の観測を続けている世理(セリ)のみで、合計9人の守護者が、この地に(つど)っている。


 これはかなり珍しいこと。



(世理も、参加して良かったと思います)


 

 周辺国家を取り込んだことで、脅威はかなり無くなっている。


 世理の能力発動条件的に考えても、一人で残る必要は無いのだが、参加しなかったのは人見知りだったからではなく、任務を続行するという信念があったから。



(同僚ではありますが天晴(あっぱれ)と言う他ありませんね。適材適所ですが、私も見習わなければなりません)



 温泉は、各々の判断という話だったが、入らない者はいない。


 潔癖症は、守護者の中には誰もいない。


 几帳面な零であってもだ。


 ゴミは排除すべき存在であるが、波風立てず(ごみ)らしくあるならば存在を否定しない───というのが零の考え方なのだが、最近はその塵が増えていることに頭を悩ませられている。


 仕事量が多くなるのを憂いているわけではない。困っているのは、その塵たちを育てないといけないこと。


 国が肥大化するのは、世界征服を目論む以上は避けて通れない道であり仕方無い。


 ただ如何せん、人材が足りていない。所々に手が回っていない状況だ。スーパーメイドにはあるまじきだが、自分と同じくらいの才能有るものを必要以上に求めてしまう。


 つまり人材の成長・確保は、零から見ても急を要する事案。


 紅蓮の下に、ヤンとミズキという者達が加わったのは非常に大助かりだが、計算上ではまだ足りない。同僚の成長を促すよりは、新しい人材を確保した方が無難であるが、急に増えるものではない。


 出来るなら、自分の複製(クローン)でも創ってもらう方が早いと思ってしまうばかりの毎日。



(ままならないものですね、何事も……)



 加えて言って、その所為で疲労は溜まる。主に負担をかけないよう、表情作りに気を配っていることで気付かれていないが、夢有(ムウ)月華(ツキカ)のように表情豊かにできていれば、疲労を抱え込むことはなかったかもしれない。


 ただそれは、スーパーメイドとしての矜持(プライド)が邪魔をする。


 “半自動治癒(オートキュア)”で回復できるとしても極力使用は控えたい。


 魂魄値の減少は、主のジュンに気づかれるからだ。よって今回の招集は渡りに船。日頃の疲れを癒すには、丁度良かった。


 但し、このままではまた疲労を溜めてしまうというもの。早急な解決は必要で、そういう意味で言えば、主を追っかけ回すニシミヤライトには一定の理解はしている。



(ジュン様があの変人に手を下さないのも、1人の人材として考慮しているからなのでしょう)



 変人と認定しているのは何もジュンだけではない。守護者たちにとっても、共通の認識。



(ただ、才はあっても性格に難ありとは困ったものです。そう言えば、誰かが私と似ていると言ったそうですが、嘘っぱちも良いところですね)



 周りに誰も居なければ、不貞腐れ顔を晒すのだが、今日は出来そうにない。


 この場に、好敵手(ライバル)は多い。



「──から、ジュン様は最高なのよ」



 零の耳に聴こえてきたのは、唯壊と紅蓮、そして陰牢の声。主、ジュンの話で盛り上がっている。



「あの落ち着きようには感銘を受ける」

「どっしりと構えてくれる所が魅力的よね」

「唯壊はやっぱ顔かなー」

「中も外も非の打ちどころがないと私は思います」

「ふーん。そう、零。貴方は私達のこと好敵手(ライバル)っていつも言うけど、私の方が1つ頭抜けてるってのは覚えておいてね」

「それは、どういう意味ですかね、陰牢」

「言った通りよ」

「なら唯壊がNo.1でしょ。ジュン様とのパーソナルスペースは唯壊が一番近いの。あんた達は誰も、ジュン様の肌に触れたことないでしょ?」



 唯壊が言うのは時折、夢有と一緒になってジュンの膝の上に(またが)る行為のこと。物理的に近くに密着しているのを主張している。



「その場合だと、夢有も該当すると思いますが?」

「あの子に恋愛は無理でしょ」



 それはそう。認識は誰も間違ってないが、ジュンの好みの性癖(ストライクゾーン)は広範囲。


 個性ある見た目で守護者を創っている以上、全員が好みに当てはまるのだが、零はおろか、誰もそれには気付いていない。



()()()()()()も増えるらしいから、また一段と賑やかになりそうね」

「研究所を稼働されるということか」

「それはいつからなの?」

「さぁ、私も詳しくは知らないわ。帝国を攻める必要性が無くなったから、このユーリース共和国をどうするか決めてからじゃない?」

「有能な者が増えるのは良いことです。ただでさえ、人材は足りていないのですから……」



 好敵手(ライバル)が増えるのは厄介ではある。


 がしかし、零は別に焦ってはいない。


 メイドという役割は自分しかいない、代わりはいない。主の横に立てるのは自分だけと、揺るぎないのだ。










◇◆◇◆◇◆








「ぬるい!!」



 大声の(ぬし)(シキ)。先程から一人で湯に浸かっては転々としている。



「完全制覇だな!!」



 この地には様々な効能ある温泉が湧き出ているが、全てを堪能するには、1日だけではそう終わるものではない。


 主のジュンからは、『各々の判断で数種の温泉に──』と言われていたためか、式は言葉通りに誰にも意味は聞かず、個人判断で全ての効能を網羅しようとしている。


 ジュンの言葉を実直に遂行する姿は守護者の鑑だが、最後の温泉は式には(ぬる)かった。


 効能の効き目も存分に味わってはいない。場所によっては1分足らずで移動しているからだ。ゆえに一人行動だったのだが、途中バッタリと会った仲間について来られ───



「ジャブーン」

「やったな!」



 (はしゃ)ぎ回っているのは、お子ちゃま。


 最初こそ月華や紫燕と一緒に居た夢有は、一人別行動している式を不思議に思ったのだ。



「さっきの熱湯風呂に行くか!

「行かなーい」


「ムッ……なら泳ぐか!」

「うん、泳ごう!」



 知能レベル低い2人が揃えば、どこだって遊び場。


 水飛沫(みずしぶき)は大量に跳ねている。



「次は……覗きか!」

「のぞき?」


「おう!(あるじ)の姿をな!」

「………わかた!」



 普通は逆。


 男が女風呂を覗くのが定番、式は履き違えている。


 夢有も少し考えたのだが、その場のノリを優先してしまっていた。



「主が居るのは……」



 においで探すも、いつもより効果は薄い。温泉特有のにおいが邪魔をする。



「たぶんここだな!」



 僅かな隙間を見つけた式。

 


「ん……いねぇぞ!?」



 がしかし、ジュンの姿はそこにない。居るのは、名前をよく覚えていない男たちだけ。



「ほんとぅだ、いないね」

「つまらないな!やはり熱湯風呂だな!」

「行かなーい」



 式の勘は間違っていない。


 確かに数分前、ジュンはそこに居た。


 ただ一歩遅かっただけ。



(ん?)



「どうかしたの?」

「いや今何か、女っぽい声がしたような……」

「……だれ?」

「知らねぇ、この声は聞いたことねえ」



 悲鳴に近い叫びが聴こえたのは男湯の方角。但し、緊急性は感じない。声は一瞬で、嫌な気配を察知したわけでもない。



「オレの主は最高だから大丈夫だな」

「うん、ジュンさま最強!」



 調べを怠った2人。


 これが吉と出るか凶と出るか、言うまでもなく()()とっては前者となった。






作品を読んでいただきありがとうございます。

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