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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので女子ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第五章 聖なる九将

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第78話 まさかの申し出

 影が揺れる。


 フラフラと覚束(おぼつか)ない。


 辿々(たどたど)しい、雰囲気(ニュアンス)的にはそれが近い。


 最後には膝をつき、両手も地につけ、四つん這いな状態。



「うっ……ッ」



 酒に酔っているのではない。


 目眩(めまい)もしない。


 呂律(ろれつ)も回る。


 では何故、このような事態に陥っているかと言うと、理由は単純、気分が悪い。重ねて言うが、酒酔いはしていない。そういった症状は全て、ダメージありと認識された時点で、“自動治癒(オートキュア)”によって治療される。


 それにも拘らず、およそ王には似つかわしくない姿を(さら)し出してしまうのは、生理的に受け付けられないから。


 傍に守護者が居なかったことは幸運だったと言える。



(うえっ、気持ち悪いっ──たらありゃしないわ全くもう!あの男近すぎなのよ!男同士は観る専って言ってるでしょう、それも美男子(イケメン)同士に限るって、私は外野よ。はぁ、まだ気分が優れないわ)




 唾を拭きつつ立ち上がる。守護者に失態が見られていないのは、まさにルドルフのおかげ。彼の発言があったからこそ、今を生き延びられたに違いない。



(まぁだからといって、褒美なんてものはないわ。私が()でるのは女子だけよ)



 その守護者たちの様子を見ようと、氣を消しては、そっと部屋を覗く。


 闇夜と違って室内は明るく照らされている。だが、光景は無、会話すら起きていない。



(葬式……のようね)



 客人扱いである以上は、接待があって(しか)るべきなのだが、知り合ったばかりの者達と談笑していないのは、逆に安心さを覚える。



(流石は私の守護者(ガールフレンド)、嬉しい限りね。本当は、このままずっと眺めてたいんだけど、そろそろ戻らないといけないわ)



 夜風に当たると言ってから、それなりの時間が経つ。


 あまり長居しては心配され、あらぬ結果を招いてしまう恐れがある。


 そうなると厄介、面倒臭い。


 それに───



(はぁ、まだ友好条約については何も話してないのよねぇ。この世界の通貨だって、金貨とかじゃ分かりづらいのよ。お互い転生者同士なら円単位で説明して欲しいわ──って思ったけど、同じ世界軸を生きてたかまでは分からないものね。まぁ、提示された内容で意味不明なのは3()()()()だから何とかなるでしょ)



 気の進まなさは依然変わりない。


 重たい足を引き()るようにして歩くこと数分、合計にして15分程度の風当たり時間だが、彼らには悠久の時のように感じられたらしく、出迎えは仰々しかった。


 これには、溜め息しか出ない。


 無論直ぐさま、“自動治癒(オートキュア)”は発動するのだが、このままでは無限ループ。早急に事を終わらせなければと思ったジュンは、席に着くなり話題を切り出すのだった。








◇◆◇◆◇◆







 今回、帝王ドラゴが提示した条約内容は3つ。


 1つは、国家間を行き来する際に必要な関税の撤廃である。全ての国々において関税が発生するわけではないが、事実上、5つの国を持っている征服王が関税を設定した場合、莫大な富を得るからだ。国家間を行き来する者は王族とは限らない。一般人、国民が他国を旅行することも十分にあり得る。王同士の利益を守る目的で友好条約を締結したいのではない。将来的な国家交流も視野に入れ、国民同士の親交を図れるようにあって欲しいのだ。



(不必要な論争を減らすためでもあったが、問題なく了承を得られたな。さて、残りは──)



 2つ目の提示内容は、帝国の情報や技術の提供及び人員派遣を行う見返りに金銭を要求するというもの。対価は白金貨もしくは金貨のみでの対応に限定している。



(豊かさで言えば、我が国の方が国力は高い。国民全体に平等な暮らしを提供できている。それに対し、ルクツレムハ王国……だったか?征服王の所は度重なる戦争で疲弊しているだろうし、属国となった国々の暮らしまで統一性を出すには無理がある。軍隊を貸し出す意味も込めた内容だが───)



「──いいだろう」

「有り難い」



(──となれば、あとはいくらにするかだが、話の詰めはその時になってからでもよかろう。これまで通り、財務的な内容はリカクに任す。帝国を築き数十年、世界の戦争を終わらせたいと願って何十年も経つが、未だ叶わずとはな……自分の無力さを痛感するが、まぁ良い。時代はまた動いた。今は王として、この国だけは守らねばならぬ。世界を護る役割は──っと、その前に一番重要な条件を了承してもらわねば……な)



 3つ目の条件は、個人的な内容を多分に含む。他国に仲良いアピールを促すという意味でもあるが───



「読書……会?本当に、あのドラゴが?」

「悪いか?」



(月1ペースの条件だが、さて──)



「年1で」

「それだと交流にはならないぞ」

「ならば半年」

「月1回だ、我は譲らん」

「っ…、4ヶ月」

「互いに忙しい時期もあるか──では、2カ月毎に開催はどうかね?」

「4ヶ月だ」

「3ヶ月は?ここで決めてくれたら、先ほどの2つ目の条件、金額は安くしても構わぬぞ」

「っ…、いいだろう」

「決定だな」



(よし、()()()()だ)



 ドラゴは妥協案とも言うべき最低ラインを決めていた。


 それが、3ヶ月に1回の読書会。定期的に実施することで、確実にドラゴは征服王に会うことができる。二人の時間が取れるのだ。これはニシミヤライトにはできない施策。王という立場を利用しての、国家間の交流という名の逢い引き。



(ライトの動向は未知数だったが、どちらにしろ条件を呑んだ時点で我の勝ちだ。あとは、()()の提案だけ……)



「友好条約無事に締結できそうで何よりだ。正式な取り決めは、また明日するとしよう。それと征服王、1つお願いがあるのだが、良いか?」

「何だ?」

「我と決闘してほしい」

「決闘……何故だ?」

「この宴席は王として、決闘は【聖なる九将(ホーリーナイン)】の1人として相手してほしい」

「必要無い」

「そんな事は無い。この世界を託せるか否か測らせてもらいたい──なに、見返りは用意してある。我に勝つことができれば、今後の傍若無人な征服活動は、見て見ぬ振りをしてやろう。無論それは、【聖九(ホーリーナイン)】に所属する者としてという意味だ。それと、勝敗の如何に関係なく、疲れを癒すに相応しい場所(スポット)を教えよう」

場所(スポット)?」

「そうだ」

「ふむ……いいだろう」



(よし、作戦成功だな)



 決闘申し込みにも私情は含まれている。肉弾戦ともなれば、必然と身体と身体がぶつかるからだ。


 (おとこ)(おとこ)の闘いを、汗水流してやる、それこそがドラゴの夢。



「──では、ライトには決闘場の用意をしてもらうか」

「……まぁ、良いでしょう──が、あなたでは勝てませんよ」

「ふっ、面白い。それでこそだ」



 言い終えたドラゴは、自分で注いだばかりの並々の酒を一気に飲み干す。


 宴も(たけなわ)、決闘は明日、歴史も動く。


 三者は分かれ、ニシミヤライトと征服王そしてその部下たちは、それぞれドラゴが手配した宿で休むのだった。







◇◆◇◆◇◆







 宿の一室、まだ眠りについていないジュンは、今日の出来事を順々に思い返していた。



(読書会って絶対必要ないわ、誰得なのあれ!?)



 読書は大好きな部類ではあるが、それは1人で楽しむ場合であって、他人と一緒に楽しむものではない。同じ空間に別の者が無言で居る状況は集中できない。



(私って、図書館みたいな所苦手なのよね。静かと言えばそうなのかもしれないけど、人が視界に入るのは煩わしいって思うのよね。読書は家でこっそりと読むのが一番よ)



 陰キャには隅っこが似合うとまでの偏見は持ち合わせていないが、読む内容は雑学や不純恋愛物が多かったため、友達作りには向いていなかった。話を合わせられるような青春物語やバトル系統は詳しくない。全く読まなかったわけでもないのだが、非常に情報は乏しく、それは自身の戦闘にも現れている。1か100でしかない能力者に、帝王ドラゴの思い描いているような決闘(バトル)が果たしてできるものなのかと考えてしまう。



(無理ね)



 とは言っても、承諾した以上は闘わなければならず、癒しの場所をきちんと教えてもらうためにも、ある程度の接待は必要。



(これって、私が闘わなくても良いんじゃない?)



 思慮深く考えることで、盲点を突く回答は導き出された。


 ドラゴにしてみれば、それは屁理屈と言われる可能性もあるが、了承してもらえなければ決裂すればいいだけのこと。


 (レイ)が最初に提言したような、一方的な暴力行為をするだけ。



(まぁ、話が通じるうちはしないけどね──で、誰に闘わせるかだけど、この場にいる3人じゃ分が悪いわ。零と陰牢(カゲロウ)ならワンチャンってところだから、勝率9割以上で考えるなら、紅蓮(グレン)唯壊(ユエ)だけど、どちらも今は忙しいでしょうから必然的に限られるわね。彼女には、()()()()()()()()()とだけ伝えておきましょうか)




 決断したジュンは念話(メッセージ)を飛ばす。


 守護者から了解の言葉を受け安心したジュンは、その後はゆっくりと安眠できたのだった。







作品を読んでいただきありがとうございます。

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