第62話 予期せぬ裏切り
地下遺跡で戦いが始まった時同じくして、砂漠地帯ジルタフの王都内でも事件は起こる。
何の前触れ無いまま、至る場所で煙が上がったのだ。突如として大騒ぎとなった王都に、自警団も駆り出される。懸命な消火活動により大事には至らずも、原因は不明。
事が終わったのが夕刻だったのもあり、自警団は皆安心しきっていた。その気の緩みを狙っていたかのように、闇が忍び寄り、自警団は次々と倒されていく。
特部も、またしかり。
王都にいる残り8名の特部の内、2名が何者かに殺られる。冷たくなった彼らを発見したのは仲間の自警団、自足で地下遺跡から戻ったリックと、ジュンの“新界”で王都に転位したナタリーに、行動を共にしていたミナミ。
変わり果てた仲間の姿に悲しむナタリー。近くにいたリックも、何が何だか分からないでいた。
「どういうことだよ、これ……」
「うっ…ひっく……、メラーノ……トウカン……」
名を呼ぶも生き返るはずも無い、死者は死者、生者たりえない。それでも諦め切れないナタリーは、近づき揺さぶろうとする。
瞬間───
「あぶなっ──」
何かの接近に気づいたのは、この場における部外者、ミナミ。咄嗟に身を挺したことでナタリーは無事だが、ミナミは激しく突き飛ばされる。およそ、老体では無事で済まされないような鈍い音と共に転げて行く。
「ミナミさん!!」
救護はできない。専門職がどうとかは関係ない。単純に動けないのだ。リックもナタリーも、突如現れ攻撃してきた人物に目を離せないでいる。
「な…何してんだよ!?」
「嘘だと言ってください」
疑いたくはない、信じたくはない、夢だと思いたい、嘘と言ってほしい。
しかし、彼は何も言わない。返り血付いた服を何とも思わない仕草で、短刀にもベッタリと赤い液体が付着している。
「弁解してくれよ、なぁ!」
言いながらナタリーの前に入るリック。ここぞとばかりに女性の盾になろうとするのは、普段の格好つけからではない。
純粋に仲間を守る為、仲間と思っていた者から本当の仲間を守り抜くためだ。
「まずは俺を倒してみろよ!眠気顔野郎!」
「…………だるっ」
リックの罵倒は、同僚の口を開かせるに十分だった。
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