第61話 飛んで火に入る砂の水
ジュンがニシミヤライトと別れる前、まだアリサたちがモジャル率いる第2関門所駐留軍と戦っている丁度その時、砂漠地帯ジルタフ南部に向かった紅蓮は、地下遺跡へと到着していた。
地上から地下までの行き方は同じ、遺跡へと続く階段を降りていった。壁床もひんやりして、前来た時と何ら変わりない。違いがあったとすれば、それは罠の数、再稼働するだけでなく、多種多様化していた。いずれジルタフ軍を派遣するため、地下遺跡に1人残ったミズキが整備したといえば理解できなくもないが、罠の種類を増やすなど、到底できる筈がない。
まるで、最初から用意されながらも、以前は発動しなかったかのような周到さ。
そもそも、ミズキの役割は水源調査。調査を終えたとて、短期間で準備できるような量ではない。
1人では困難を極める。
それこそ最初から準備されていたというのが妥当だろう。複数人での作業を1人で熟す自警団であったならば、自警団で終わらすには勿体ないくらいの逸材になるが、残念ながらそうはならない。
何故なら───
「あの量を無傷で捌けるなんて流石ね」
未発動だった罠の存在を知っていたからだ。
「その装置でか?」
紅蓮が近づきながら指差すのは、ミズキが手に持つ装置。
「そうね、でも───」
「あんたが来るとは思ってなかったよ」
ミズキの振り向く後ろから現れるのは、彼女の上司。
「王女の守りは良かったのか?」
「問題ないよ、あたしの団員は皆、強いんだ」
「ふん、なるほどな」
ジリジリと縮まる間合い。人一人くらいの距離で赤髪と紅髪の2人が歩みを止める。
「私が来ることを想定していなかった時点で貴様らの負けだ───いや、そもそも勝負にならない」
「言うねぇ、そうかもしれないけど、地の利はあたしらにあるんだ。勝つのはあたしらさ。それに、あんた以外は楽なもんだろう?」
「それは………、ノーコメントだな」
「そうかい。まぁ、あたしらに後はないのさ、突き進むまでだよ」
紅蓮の掴む剣に迸る炎。ヤンとミズキも短刀を抜く。
ここに砂漠地帯ジルタフ自警団と、ルクツレムハ征服国守護者の戦いが幕を開ける。
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