第60話 信号
アリサたちの戦いを遠目から見ていたジュン、その隣には他人で部外者で厄介なストーキング男。
「有象無象ではレジデント王、モウリには太刀打ちできませんか」
「……」
「他の者も悪くない動きですね、まぁ及第点といった感じでしょうけど…」
「……」
「そういえば、レジデントは既に属国でしたね。王という敬称が不要だったのを忘れていましたよ」
「……」
(はいはいはい、一人納得ありがとね)
遂に、口を開くのも面倒になってしまったジュン。好きでもない男とずっと一緒にいて疲れてしまったからだ。
(ああ…、もちっとした肌に……溢れんばかりのおっぱい……可愛い後ろ姿……)
人目を気にしたばかりに、満足に自分の好きを堪能できなかったのも大きい。
夢有の生足にスリスリしたかった。
月華の胸を凝視したかった。
アリサとエリカの華奢な背中を後ろから抱き締めたかったのだ。
(女の子のエキスを吸わないと……頭がおかしくなりそう)
“自動治癒”が余り意味を成していないほどだ。ニシミヤライトが守護者のように強くなければ、道中引き離すのも容易だった。
(イボイボできそう……)
救いの手はない、そう思われたその時────
「ん………?」
「ム?」
リィーンと耳鳴りのような音が鳴る。
「これは───」
「──行くのか?」
(行け行け、いけイケ早く!)
「私に向けたモノではないでしょうが、他に手の空いた者はいないかもしれませんし、行きましょうか。貴方様の戦い方を見れないのは残念ですが……」
(いいから行けっての!というか、ちゃっかり呼び方変えるなんて変態じゃない!気持ち悪いったらありゃしないわよ!本来なら、私が行きたいところだけど、王子様役は譲るから早く行ってあげなさいな!)
「終わったら、また戻りますね」
(もう来なくていいから!必要ないから!需要ないから!)
腕組みしたまま何も言わないジュンに対して、他人で部外者で厄介なストーキング変態男は丁寧に深くお辞儀しては飛び立っていく。
(はあぁぁ、やっとね)
男二人の構図にやっと解放され安堵する。今度こそ自由に行動できると意気込むジュンが相手するのは、この国の王暴君ヴァルカン。
だが遠く離れた別の場所では、まだ熱い火花が散っていることを、ジュンは知らない。
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