第54話 戦争国家ネルフェールの計画
ネルフェール国王、ヴァルカンの住む居城に伝令が舞い込んで来る。戦争国家に伝令といった報告は付き物で、毎日のようにあるために何も珍しくはない。ただ今日はいつもと雰囲気が違い、大臣たちが座る会議室を通り抜けたまま、隣室の王の居る部屋へとノックもせずに、豪快に扉が開かれた。
「申し上げます!第3関門所、破壊されました!!」
ざわめきが起こる。大臣たちは、『伝令は何を言ったのか?』、『気は確か?』などと声を漏らしている。了承を得ずに扉を開けたことも本来ならば懲罰もの。しかし、ヴァルカンは咎めようともせず───
「突破ではなく、破壊か?」
「はい!申し訳ございません!我々も何が何だか…」
「大臣、例の計画は予定通りの筈だったな?」
「ええ!間違いございません!彼の国との話はついておりますし、裏切られる可能性は万に一つもございません!」
「……であれば、このイレギュラーは何だ?敵は誰だ?」
「それは……?」
大臣の一人が伝令をチラ見する。
「わ、我々の判断が間違いなければ、ルクツレムハの勢力だと思われます!」
「間違いないか?」
「はい!あのような能力者、近隣では見たことがありません!」
「……要するに、挟撃は気づかれた、もしくは漏れたか?」
「漏れはないかと思いますぞ。気づかれる筈もござりませぬ。つまり、これは奴らの気まぐれかと……」
「それにしても解せんな。どうして進軍に気づけなかったのだ?」
「いえ、違います」
「なに?」
「単騎です」
「なに!?」
一層、ざわめきが増す。その慌ただしさの中、1つヴァルカンは溜め息をつく。結果、一瞬にして場が静寂となる。それもその筈、全員が恐れをなしているからだ。この場合ならばいつも、責任を取るために誰かの首が飛ぶ……そう、物理的に───
「爆裂手剃」
「えっ?」
全く関係の無い環境大臣の首が宙を舞う。窓も爆風で弾け飛んだ。
「「あわわわわわわ……」」
「国務大臣」
「はいぃ!!」
「環境大臣の後処理と入れ替えをしろ」
「仰せの通りに!!」
「防衛大臣」
「はいぃ!!」
「全関門所に配備している軍を、ルクツレムハに進軍、それと俺の直属近衛兵を王都周辺に呼び戻せ!」
「早急に致します!!」
「関門所を破壊できるなら、俺と同等クラスだろう。お前達分かっているな?」
「「はい!命を賭してでも、ヴァルカン様に勝利を!!」」
「そうしてくれ」
ヴァルカンの命令により、一挙に動き出す大臣たち。巨人出現報告を皮切りに、本格的に両国の戦いは始まった。その様子をヴァルカンの妻ネルは、後ろからジッと見つめていた。
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