第53話 傍観
ジュンは夢有の第3関門所破壊を傍観していた。建造物の破壊だけなら、大雑把な夢有でも失敗はない───そう思えていたのは最初だけ、破壊の余波で駐留していた軍には間接的な攻撃を食らわしていた。
これは直接攻撃と言っていいくらいだ。破壊された壁の破片が吹き飛び、兵士に直撃している。当てずっぽうショットガンを撃っているような光景だ。
更には、巨人化した夢有の適当パンチが建造物に当たらない場合もあったりする。その場合は空振りとはならず、兵士の誰かに当たってしまう始末。無差別隕石の落下とも言うべきか、これでは兵士もたまったものではない。
軍や民を攻撃しない案は、すぐに瓦解しそうなほどだ。
(無邪気なのがエグいわよねぇ。半分くらいは壊れたし、止めさせたいところだけど、関門所の破壊任務中は手出し無用で、見守る程度って話になっちゃったのよね………というかこれ、月華は破壊できるのかしらね?)
その月華は、第1関門所へ1人で向かっている。
『鍛錬します!』とだけ言い、紅蓮同様に“新界”を通らず、自足で走っていった。
後からジュンも行くようにはしているのだが、一緒に行動しないのは、ニシミヤライトが『皆さんの手腕を拝見したい』と言ってきたのも原因の1つ。
他人の願いを聞く必要もなかったのだが、守護者2人も呼応するかのように、それぞれ単独で破壊したいと申し出てきたがために、ジュンは承諾するしかなかったのだ。
結果、第3関門所・第4関門所の破壊後に、第1関門所へと行く予定になっており、邪魔な他人は一緒になって傍観している。
「いやぁ、流石です、あの破壊力。ここには夢有さんに太刀打ちできる相手はいなさそうですね」
同行を許す際に、ある程度の自己紹介は済ませてある。あくまでも仕方なくの紹介であり、ジュンは全く気を許していない。
美男子でも男は男、眼中にない。
その感情をニシミヤライトが知る筈もなく、夢有を褒めちぎっては、ジュンの後ろを絶えずついていく。
戦場を見渡せる場所は何処にでもあるのにだ。変わらずジュンのやや斜め後ろを定位置かのようにしている。ジュンからしてみればストーカーのようで、気持ち悪さしかない。
(あーもう!なんなのよコイツ!)
鳥肌が立つほどにゾワゾワする。
(何が目的なのよ!全くわかんないんだけど!!)
第3関門所を壊しきってからも、ずっと後ろをついてくる。絶対にその場所は明け渡さないと主張しているかのよう。
“新界”を使わずに、第4関門所まで移動している最中もニッコニッコとしている。
(出会い方が違ってたら殺してたわ)
イライラは止まらない。ここにきて、男で悩むと思っていなかったジュンは、今後どう対処するかという一点だけ考えていた。
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