第51話 満場一致?
ナタリーとニシミヤライトは何やら会話をしている。良く見れば、ナタリーの耳飾り1つを渡しているようで、それを凝視していたジュンが嫉妬を覚えるのは当然のこと。
(顔なの!?ナタリーちゃんは中身より外見派!?)
美顔とは言えないが醜くも無い、一般的な自分の男顔をつねっては比較する。夢有も一緒になって頬をつねる。勿論意味は理解していない。会話も完全に蚊帳の外。この時間から解放されるなら、最悪それでもよかったのたが、予期せず遭遇した転生者ニシミヤライトは、ジュンたちを逃さない。なんとこの男、ジュンの征服者としての手腕を見たいと申し出たのである。言い換えてしまえば、どこかの国を征服して欲しいという意味合いで、一番近いのはこの地、ネルフェールとなる。
「元々、征服王という人物には興味があったのです。どのような御方か、知る必要がありました。容姿もそうですが、話をしてみても害を感じられません───であれば、この荒れた国程度は征服されても問題ないと思い、切望した次第です」
ジュンとしては、全くもって理解不能。今回ネルフェールを勝手縦断しているのは、国境付近の確認であって、戦争を吹っ掛ける奇襲ではない。
(そんな流れになるわけないでしょう)
ジュンの考えは正しい。それが普通の見解。しかし、忘れないで欲しい。ここにどれだけの普通がいるのか、ということを。
「ミナミさんも、そうは思いませんか?」
「ええ…、ですね。ほぼ一般人の意見を汲み取ってくれるなら、そうしてもらえると有り難いです。この国は、私にとっては道と同じです。祭事が無いですから……そういう意味で言えば、新たな者が統治してくれた方が、私のような弱者も生活しやすくなります」
「ナタリーさんは?」
「ジュン様とは短い付き合いですが、お人柄は素晴らしいと思ってます。征服王なんて名前も嘘なんじゃないかってぐらい、恐ろしさも感じません。そんな人がネルフェールを統治してくれれば、きっと楽しい国になる筈です。だから私も賛成します」
知人程度でこれなのだ、身内なら尚更。
「おチビさんはどう思いますか?」
「おチビさんじゃない!わたしの名前は夢有!」
「これは失敬、ムウさんはどう思いますか?」
「んーーっと……、突き進む!」
「良い答えです──そちらの御二方は?」
「私はもとより、いつかはこの国を攻め落とす気でいたのだ。貴様に扇動されるのは癪だがな」
「ボクも賛成だよ」
この場の全員とは言わないが、反対意見が出ないのはそういうこと。普通でない者が多い。一番の非普通がジュンであることは間違いなく、そこから創造された守護者が普通であるはずも無い。
彼女たちは一癖も二癖もある存在。ニシミヤライトという不純に場を乱されたからといって、それに気づかないようでは、ジュンに主導権はない。
(ちょっ、ちょっと待って…なんでそうなるのよ。確かにこの国はデートスポット見つけられそうにないけど、だからって今直ぐは───ああぁもう!)
主の意見は待った無し───いや、寡黙設定のジュンでは断る理由も正確には伝えられない。つまりは流れに身を任す羽目になるのだ。
(この男、ホント侮れないわ)
そう思うのも無理はない。 彼には彼の野望があるのだ。
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