第45話 企み、潜み、謀る①
ここは、とある王城、その一室。
朝から会議しているのは、この国の内務大臣・環境大臣等々、10人以上。議題内容はいつも同じ、戦争や領土拡大といったものばかり。他の議題もあるにはあるが、軍事が未解決すぎて足を引っ張っており、自国強化の話にまで至ってない。
では何故、ここまで手をこまねいているかというと、この国が内陸に位置しているのが原因。北は砂漠地帯ジルタフ、西はルクツレムハ征服国(旧バルブメント王国)、南はユーリース共和国とドラゴニアス帝国、東には彼らが最大級に警戒している妖国グリムアステルと面している。
このグリムアステルという国、数十年前にアステルから妖国グリムアステルと名を変えた。
噂話が確かならば、糾弾された王の代わりに、【聖なる九将】が統治しているらしいが、救援の意味での統治ならば何ら問題はない。
但し、乗っ取りだった場合、【聖九】としての根幹である正義の味方という概念を揺るがす事態になるうえ、数十年の居座りを疑う必要が出てくる。
この真相を追求するのは余りにも危険を伴う。
【聖九】という組織は偉大だ。民意を左右させるほどの驚異的なネーム力に加え、世代が変わっているとはいえ、個人の戦闘力は非常に高い。
第9位から第1位まで順位付けされている者達の戦闘力はSS〜SSS、単体で国を滅ぼせると言われている。
これを覆すのは到底無理な話だ。
彼我の差は埋められない。
もしも戦争となってしまった場合、同程度の能力者をぶつけるしか勝利する方法は無い。
しかし、そう簡単にSSランク能力者を手に入れることもできない。そもそも、【聖九】以外にSSランク能力者がいるかどうかも眉唾である。
それほど貴重で稀な存在を見つけるよりかは、軍門に下る方が賢明となるのが一般的な選択肢だが、この国にはその選択肢がない。
いや、選択する気がない。警戒はするが屈することはなく、強請られたとしても動じない。
彼らの中では既に、閣議決定しているほどだ。いくつもの戦争を経て、小国3つを平定し、1つの大国となった国こそが、【戦争国家ネルフェール】なのである。
建国してまだ15年足らずだが、彼らには勝利した実績があり経験がある。決して崩すことのできない自尊心がある。
暴君ヴァルカンとその妻ネルを擁するこの国は、戦争・侵攻でもって領土拡大を狙う脳筋な輩たち。
暴君ヴァルカン指示のもと、勢いのまま複数の国家を相手取った結果、進軍ままならない状況に陥っているが、いつかは押し切れるとさえ思っている。
その可能性は間近に迫っている。これまで作戦という作戦を立ててこなかったにもだ。
その一手を差し伸べたのは軍師ではない。軍師などいない。これはヴァルカンの妻、ネルの進言である。彼女の助言により、事は今動き出そうとしている。
「──友好国からの知らせはいつじゃ?」
「もう間もなくの予定ですぞ」
「獲物は罠にかかった」
「その通りですね」
「妖国グリムアステルは?」
「今のところは目立った動きはありませんね」
「ドラゴニアス帝国と短期間停戦を結んで動揺しているのかもしれません」
「妖国は脅威ぞ、見くびるな、未だに我らを手中にしない方が不気味だ」
「ですなぁ」
「東はどうでもいいでしょう、今は西よ」
「左様、だが願いは成就する」
「皆の者…、抜かりはないか?」
「はい、ヴァルカン様!」
「もうすぐ戦いが始まります」
「はい、ネル様!」
「各自、準備を」
「はい、必ずや勝利を!」
友好国の合図を待つネルフェール、戦が始まるのは最早、時間の問題。
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