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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので女子ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第二章 闇の商人

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第30話 廃街レース当日



 ここは【廃街レムナント】、この国における最初の都市。


 以前は商売人が多く訪れ活気に溢れていたが、都市開発により主要都市を変更、居住者も年月を経て少しずつ減っていき、今では誰も住まない廃墟と化した都市(ゴーストタウン)となっている。


 そうはいっても、ここを有効利用しない手はない。

解体するのは簡単だが、それなりに費用もかかる。であれば、催し用に使えば良いということで、3年に一度、大きな祭事が行われている。国内の有力者に加えて、国外の投資家や裕福な金持ちが、こぞってやって来る。


 祭事内容は開催される度に毎回違うも大金が動くことに変わりはなく、優勝者には賞金と名誉が褒美として贈呈され、優勝者を含めた上位入賞者を見事的中させた者には賞金以上の大金が入る。


 賭け事(ギャンブル)は金持ちの娯楽の1つ。

 全財産を失い敗者となるか、富を得て勝者となるか、その快感(スリル)を求めに参加する者もいるほど。


 誰もが()()()一発逆転を狙えるチャンスが、この祭事にはある。



『あー、皆様聞こえてますでしょうか?まもなく参加を締め切らせてもらいます』



 場内アナウンスが始まる。会場全体に声が響くのは他国の最新設備のおかげ。導入は今回が初めても、効果は上々。それを仕入れることができるのも商国ならではといえる。


 仮に司会者が何かの能力者だったとしても、ここまで精密に響かせるのは難しいだろう。設備や機械といった技術の類が、時には能力を凌駕するという良い例。



『早速ではございますが、ルールについてご説明を致します。今回は廃街レムナント全域を利用してのレース大会となっております。出場者は能力者から脚力に自信のある者まで、年齢・性別問わず参加いただいております。スタートから指定した地点を順次通過した上で、一番にゴールした者が優勝となります。単純明快、いいですねぇ!それと、今回も暴力での妨害行為は有効とします!!では次に、出場者の紹介に移ります、まずは───』



「例年通りの盛況ぶりですね。これなら今回も潤沢な資金確保ができそうです」

()()()()()()()()



 スタート地点の会場には観客席、その中央、司会者と実況席の後方にある天幕のかかった部屋は、俗に言う特別席(VIPルーム)


 この国の女王シンディとその側近に、能力者2人が護衛として付いている。 


 シンディの右後ろに控えるのは、能力者のセキ。彼は口数少ない仕事人のような性格も、Aランク帯に属しており、この国における最強格。


 能力は、“巨腕な手(マジック・ハンド)”、等身大ほどの手を自在に操り、相手を拘束や締付けたりと防御としても有効。巨腕にダメージはあまり通らず、セキが気絶でもしない限りは消滅しない。壁や地面もすり抜けできるという、優れた能力。


 セキの反対側、左後ろに控えるのは、能力者のユフォン。彼女もあまり喋らない方だと認識されがちだが、切り替え(オン・オフ)が上手いだけの普通の性格。


 能力は、“霧隠れ(ミスト)”、自身を含む一定範囲に霧を出現させることができる。能力自体に殺傷効果はないが、惑わして奇襲をかけるにはもってこい。また彼女は他国の殺戮集団の一員だったこともあり、戦闘経験豊富で暗殺を得意としている。


 Bランクに留まるも、基本値(ステータス)はセキより高い。


 シンディには、もう1人護衛の能力者がいる。その者の名はクルド、Cランクの彼はここにはいない。



「手筈通り、ライラックに一点賭けしていますが、変更はしなくていいんですよね?」



 側近が言いたいのは、投資の分散は不要で良いかの確認。



「ああそうだね!!そのために高い情報も買ったし、設備の追加購入もしたんだよ。クルドも手配してるんだ、あたしが負けるなんて万に一つもないだろうさ!」



 クルドは妨害系の能力を有している。レースに出場はするが、彼の任務は1位を取ることではない。ライラック以外の出場者の足を引っ張ること、そういう陰湿な行為が彼の得意とするところ。



闇の商人(ダーク・ブローカー)は参加しないですよね?」

「アレが表舞台に出るわけないだろうさ!」

「シンディ様は、闇の商人の顔はご存知で?」

「知らないね、あたしゃあ知らない。奴はいつも、顔を隠してるのさ」

「そうですか。懸念があるとすれば、あとはシンディ様に不敬を働いた者共くらいですか…」

「あの小僧共は来ねぇだろう。この都市からバルブメントまでどれだけ離れてると思ってるんだい?軍隊が攻める?いやいやあり得ないさ。仮に、能力者による少数攻勢にしたってだ、あたしには強い護衛がいるし、闇の商人が味方に付いている。不測なんて有るはずがないのさ!」




 論破され、不安を抱いていた側近も納得。十分すぎるほどの予測に、対策も抜かりない。シンディは、信じて止まない勝利の美酒に酔いしれる。






◇◆◇◆◇◆






 女王シンディと少し離れた場所にいるのは、胃薬持参のルドルフ。


 特別席(VIPルーム)ほど豪華ではないが、一般席よりは整っている。


 ルドルフ同様に薬を用意する者は少なからずいる。勝者となるか敗者となるか、人生の一発勝負に緊張しない者はそうはいない。大負けして失神し、気がついた時には身ぐるみ剥がされていたというのは、意外にも良く聞く話。祭事に何度か参加した経験はあっても慣れることはない。


 その度に薬を飲み緊張を緩和させてきた。


 高価な薬は効能抜群で長年信頼を寄せてきたが、今回ばかりは全く発揮してくれない。緊張は収まるどころか悪化、血尿が出てしまいそうな状況になっている。頭も痛い。息が難しい。過呼吸を引き起こしそうにもなる。手足も痙攣して──



「よっと、ルドルフ卿は誰に賭けるんだい?」

「ひぐぅっ……っ!」



 咄嗟に反応も家畜のような(むせ)び泣く声。


 ルドルフの知己(ちき)が吃驚したのも仕方ない。



「おい、どうした?」

「いや…あぁ、なんでもない」

「体調わりぃなら今回は参加しなければよかっただろ?お前んちは安泰なはずだぜ?」

「そ、そうかもな……」



 歯切れの悪さには理由があるのだが、ルドルフは決して口に出すことはできない。



「まぁいいさ、体調管理しながら参加したらいい──んで、さっきも聞いたが、誰に賭けるんだい?」 

「……殿」

「何だって?」


()()殿()

「シキって……ああ出場者No.44の女か、お前もしかしてああいう女がタイプなのか?」

「ちがっ……」



 断じて違う。ルドルフの好みは、もっと清楚だ。



「んま、いいさ。人の恋路は邪魔しねぇよ」

「……」



 ルドルフには最早、返答する気力が無い。


 (やつ)れ、疲れ、心が痛い。新しいかかりつけ医でも探すべきかとルドルフは思う。




『──ではではご覧ください。こちらも最新技術となっております。街全体を映してくれるので、実況もしやすくなりますね。以前は専門の能力者を雇っていましたが、時代は変わるというものです。いやはや、その方が無職になるのは申し訳ないですが、今回は最新技術の恩恵に預かりましょう。これも女王シンディ様のおかげです、皆々様盛大なる拍手をお願いします』



 司会者の言葉で、観客が巨大な映像媒体(スクリーン)に目をやる。


 女王シンディがお試しで購入した他国の技術。そこには、号砲を待ちわびるレース出場者が映し出されていた。






◇◆◇◆◇◆








 スタート地点には屈強な者達が大勢いる。知名度のある国内の能力者だったり、国外からの挑戦者から成り上がろうと考える一般市民までと多種多様。


 その中で最も注目を集めるのは、【凶手(エビルズ)】リーダーのライラック、彼に間違いはない。ただライラックは何故か心此処にあらず状態。会場の隅や観客席をチラチラと見ている。余裕ある姿は、これっぽっちも無い。



「………ッ」



 とは言うものの、その不自然な素振りに気づいてる者は少ない。ライラックも、これ以上はレースに支障が出ると判断して考えないようにするが、()()()()()()()()()()



(何故だ。何故誰も連絡を寄越さない!)



 会場入りする前、仲間のモズと合流することになっていた。更に言えば、前日の仕込みでフレッドとミーチアにも会う予定だった。



(俺が時間を間違えた?いやそんな事はない。定刻通りの……はずだ)



 ヌーボを失い、残る仲間とも連絡取れない状況に焦っていた。これでは最悪の状況も考えてしまう。ここに来て妨害の仕込みが出来ているかどうかは、どうでもよくなる。



(くそ!俺は凶手のリーダーだぞ!誰もが恐れるライラック様だ!震えなんてあるわけない!!)



 自身を鼓舞するライラック。策を講じる手立てはないが、負けるつもりも毛頭ない。



(仮にだ。今モズ達が、どこかで戦っているとしよう。妨害行為をしようとしたのが見つかり、その対応に追われているとしても、あいつらが負ける筈がない。俺の失墜を狙ってる(やから)としたら、『赤眼の獅子(レッド・ライオンズ)』もしくは『真の隣人(ネイバーズ)』か。それ以外の勢力の可能性は……いや無いか。どちらにしろ、俺達が敗北する理由にはならない。今に見ていろよ。この俺の邪魔をしたんだ。必ず息の根を止めてやる)




 視えぬ敵へと宣戦布告する。


 勝利は誰が手にするのか。まもなく、レース開始の号砲が鳴る。






作品を読んでいただきありがとうございます。

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