第164話 可能性の鎖
信頼ある守護者を称賛。二度も称賛すれば、それは大絶賛に他ならない。会議も、これで終わりとなるはずだったのに────
(早計すぎるわよ、博ったら……)
創造主ジュンの望み・願いは、大好きな女子と戯れハーレムすること。そのために邪魔な者を排除(世界征服も一環として)し、デートスポットを確保し、女性を囲んできた。創造した守護者たちを対象としているが、出会った者達の中で好みの者がいれば次点候補にと関係性を築き続けている。だが、最大の難所というべき問題点は己の身体。
ジュンは早乙女純でもある。元々は女子高生で男嫌いの早乙女純。男女の恋愛を忌み嫌い、女同士の恋愛を至高と考える癖のある変態。
転生して男になって、守護者に恋焦がれないよう寡黙男に徹し、ひょんな機会でクロウと出会い契約を交わすも、願った通りのナイスバディな女性にはならず、守護者の夢有と何ら変わらないような女児に変化を遂げている。
それもこれも、自分の力ではどう足掻いても、まともな女の身体を手に入れられないからだ。最強と自負できるくらいに強いのに、自分の容姿だけは変えられない。守護者は創造できるのにだ。この一点だけは、世界に嫌われているとしか思えないほど。
容姿を魅力ある姿に変えることもまた、ジュンにとっては悲願なのである。
ただし、この悲願、守護者には知らされてない。
転生した当初、男だった頃の『変態と思われるんじゃないか?嫌われるんじゃないか?』という不安が拭えないからだ。今でも十分変態なのだが、一般的思考や定義に於いて、自身の考えが普通と真逆であることくらいは理解していて、その所為で相談はできないし、秘密にし、男から女児になった時も、『姿を変えたかった』とは言えていない。
守護者たちからしてみれば、容姿など無問題であり無関係・不必要なのだが、その想いはあまり届いていない。つい最近、男好きだったライトが吹っ切れて、容姿関係なく尽くすと発言したばかりなのだが、ライトが男だったのもあってか、全く心に響いていない。
ジュンは完全なる女体化を目指している。
だからこそであるが、現状の問題を解決し得る手段として、〈異世界の神具〉七大神具の1つ《変体の鎖》には可能性があると思えてならないのだ。
(連鎖的にってのは少し……いやけっこうアレだけど、上手くいった場合、ライトも女の子になるってことかしら?この辺りはどこまで効果が伝染するか聞いてみないと分からないけど、一番の可能性として留意していて良さそうね)
同性愛者のライトが女性になれば、全員がWin-Win────
(でも、かなりキモいわ)
とは、ならないかもしれない。
だから知らなければならない。効果範囲について、デメリットについて。異物についてはからっきしなのだ。
異世界に行くこともやぶさかではないのだが、ジュンの“新界”では、そこまで届くかどうか不明。
(異世界へ行くなんて馬鹿げてる。リスクもあるし、どうせそのヒョウジンとやらは、またこっちに来るだろうし、その時聞けばいい。勿論、再優先事項で探すけど、ゼロとクロウが共鳴………相反する以上は自ずと私達も会うのだから待ち、で良いはずよね?)
「──何?」
「イヤ……」
ふと、ジュンは気付いた。クロウからジッと見られていることに。顔の無い存在だとしても気配で察知できる。
「契約は忘れてないわよ」
「モチロン、ソウシテクレルトシンジテイル。イヤ、シンジルシカナイ。シルフハ、オソラクモウムリダロウカラナ」
「ふーん、そっ」
ジュンとクロウの契約は〈ゼロを倒しクロウの呪いを解く〉というもので、その前金みたいな扱いで女体化を願ったのだが、何故か上手くいかず女児になった。可能性として、呪いが解け元のクロウになれば、契約を更改して完全なる女体化にすると口約束でここまでやってきているのだが、ここにきて別の方法が出現していることをクロウは危惧しているのだ。契約を反故にされるのではないかと。《変体の鎖》で願いが叶ってしまったら用済みにされるのではないかと。
クロウは信じるしかない。ジュンをシンジルシカナイ、のだ。
作品を読んでいただきありがとうございます。
作者と癖が一緒でしたら、是非とも評価やブクマお願いします。




