第151話 シルフ VS ドラゴ
征服王側とギルテ側で戦う相手が決まる中、帝王ドラゴが真っ先に指名したのは探していたニシミヤライトだ。1ヶ月もの間、帝国を留守にするほどの理由になった知人。
がしかし、それは却下された。あろうことか本人にだ。
『私は戦いたい人が別にいるんです』と、首横に振られ断られた。
仕方なく、というべきか創造主ジュンが引き連れる守護者の相手に指名されなかった者と戦う羽目になった。
売れ残ったのは【聖なる九将】序列第五位のシルフ。奇しくも【聖なる九将】同士の戦い。第七位と第五位。
位階は基本的に能力者の強度を示す。世界を救うなどの実績も一応は加味されるが、〈強さ順〉と思って問題ない。つまり、ドラゴはシルフより弱い。勝てる可能性は普通に考えて3割くらいだ。ただ、シルフの能力を知るドラゴにとっては3割どころではない。“天針”が完成形となった場合、勝率は0割……0%。
それくらいに脅威。
短時間決着は必然で、最初から本気の攻防となるは明白。
「”炎熱砲”」
火炎放射に続き、
「“炎熱爆破”」
周囲一帯を炎の光で包む絨毯爆撃。
現在地は国境とも【DS園】とも離れたネルフェール国内。民のいない国。容赦の必要もない。
それに、この程度で倒れないことくらい、ドラゴは知っている。
「チィ………剣聖め」
「そんなに怖いか?」
「フン、我が怯えていると?」
「あぁ、貴君からは焦りを感じ取れる。大方、この天針が気になるのだろうが、注意散漫は死一択だぞ」
大剣で火の粉振り払うシルフは火傷1つない。
第五位と第七位の歴然たる差。攻略の糸口は無いに等しい。
だが、相手がシルフだったのは丁度良くもあった。
「1つ聞きたい」
時間掛けるのは悪手だが、どうしても知りたいことがあった。
「ライトは自ら戦うと進言したのか?」
「………」
「貴殿は自らの意思で戦うと申したのか?」
「………」
「どっちなんだ!」
執拗なまでに創造主ジュンを追いかけ、敬愛従順していたライトが自らの意思で敵対すると思えないからだ。
(操られでもせんかぎり、あやつがそんな態度取るわけない)
操作系の能力者を、まず疑うのが筋というもの。
「貴君が知って何になるというのだ?私にメリットすらないだろう?」
「情緒的酌量処置」
「何?」
「情緒的酌量処置でシルフとゾビィー二人の命は救って欲しいと征服王に懇願するためだ」
「ハハ……フフハハ!!何を言うかと思えば世迷言を、其れすら私達への暴言と解らぬのか!?」
「貴殿らの覚悟を踏み躙る行為くらい理解しておるわ!だが、同じ【聖なる九将】に身を置く者として同情は必要だろうが!」
「不要だ、ドラゴ。私たちを軽んじるでない」
「そうか────で、吐くのか吐かないのか?」
会話中、天針は刻一刻と進んでいく。
針が〈Ⅲ〉の位置で止まり、攻撃力が上昇、赤色の闘気が包む。
「心配するでない、彼の者の本質は変わってない」
「であれば、やはり………」
「異世界の宝具とやらを使用したのは事実のようだ」
「何だと!?」
「制約か誓約かどちらか解らぬが、縛られておるのは確かだろう」
「そうか………」
(ならば、早々にギルテに問い詰めるべきが妥当だ───!?)
「“王者の流撃”」
翼広げた瞬間に、骨ごと持っていかれる。
「ツッ………!!」
「逃がすわけなかろう」
千切れてはいないが、かなりの損傷。攻撃力上昇効果の振れ幅を見誤ったが原因。
「くっ……まさか貴殿も誓約を?」
「いいや、私は違う。“王者の一撃”」
ドンッ、と大地が隆起するほどの衝撃波が放たれる。ドラゴの周囲は土壁が盛り上がり、自然の要塞が出来上がる。
断固として逃さない構えに、ドラゴは鼻で笑った。
「何が可笑しい?」
「精神が真っ当なら、倒せばいいだけだ」
「……貴君に出来るといいがな」
「出来るさ、何故なら我は帝王ドラゴぞ!!竜坤の構え」
翼仕舞い、尾は縮み、身体は細身に、手足のみ強化した武人の構え。
「我の武術、甘く見るなよ」
「ハッ、面白い、それでこそだ帝王!」
覚悟決めた二人、戦局の行方や如何に。
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