第149話 シラン & サラギ VS 陰牢
零と同様に国境付近で戦う陰牢は、能力“拷問召術”を発動している。
ボンッ、ガシャンと発動した器具に【六根】の者達が捕まっていく。但し、拷問器具に囚われても、死人は出ていないし、泣き叫ぶ者もいない。
拷問に慣れきっている者達相手では、能力が有効打として作用しない、のではなく攻撃性能を除外した罠のみ展開している状態。要するに、捕獲に徹しているということ。これは普段の彼女の性格を鑑みれば、有り得ない出来事。
創造主ジュンの作戦を純粋に実行している結果なのだが────
(意外と難しいわ)
そう吐露する目線の先には、未だ捕まえきれていない者達。
拷問に耐性があるのを知っている以上、手加減は不必要。力加減は、それほど考えなくていい。
難しさの意図する点は、罠に引っ掛かる率だ。
想定では、もっと簡単大量に捕獲予定だったのだが、今回【六根】と初めて戦闘する陰牢は、彼らの俊敏性を考慮していなかったのが災いし、思う様な結果に達していない。
能力者の共有に合わせ、殺戮集団の情報共有もされているのにだ。更には陰牢自身、拷問室に送られた、副長クラスに対して拷問行為をしているため、時間という概念では一番長く関わっている。
しかし、実際に会ってみると動きこそ翻弄されないものの、軽快に動く者達全員を捕獲するという目標には至っていない。
赤眼の劇薬を服用している者はいない。つまりこれは、彼らの純粋な戦闘能力。集団練度の高さ。
戦を得意とする者達と、戦を苦手こそしないものの好戦的でもない単に血を見るのが好きなだけの者との戦いは長引く。
と、思われた時────
「隙あり!」
陰牢の大鎌と接触したのは分銅鎖、更に強襲するのは無数の弓矢。分銅こそ当たりはしなかったが、鎖は陰牢の手を絡め、弓矢は頬を掠った。
「あらぁ、長の登場ってわけね」
「いかにも、我が名は第四の里長シラン」
「私は第三の里長サラギと申します」
スラッとした身のこなしに分銅鎖構えるシランに対し、サラギは中距離から弓矢を構える。
「そう、第四の里長なのね」
ポツリと答えた陰牢。
「それが何だ?」
「私は拷問官、シギンは貴方の所の副長さんじゃないかしら?」
「貴様……、楽に死ねると思うなよ?」
「ふふ、威勢がいい玩具は好きよ。でもごめんなさいね。私は強く創られてないから手加減なんて、多分出来やしないわ」
絡まる鎖が強く締まる。
能力発動するシランとサラギ。
陰牢も、問答無用で黒き陸竜を召喚した。
「一緒に踊り狂いましょうか♪」
今後の統治・征服に深く関わる〈敵を生かす作戦〉は果たして成功するのか、戦場に奇異な笑い声が響き渡る。
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