第132話 作業開始①
「ん゙〜〜、ヨイショっと!」
早朝、ネルフェール。朝日昇る中、グイっと背伸びしたのは月華。
配布された資料に目を通しながら歩いている。
「えーっと、どれどれ?」
ジュンの提案したDS建設計画は、今日から始動する。
夢と秘密が詰まったテーマパークならぬデートスポットは、守護者が建てる。
当然の如く、建築経験ある式や紫燕が作業の全般を担うのだが、ネルフェール全域───とはいかないものの、それくらいに広大な土地を使用しての建設計画であるがために、他の守護者も手伝っている。
会議にグラウスたちが加わっていたことからも分かるように、ネルフェールに近い東部軍も、資材を組み立てるなどの作業を行う。
人員は多い。
がしかし、初めての試み。
期間は1ヶ月を見込むほどの大型計画を成功させるには、多くの力が必要なのだ。
「ボクの役目は──っと?」
「──休憩所などの整備及び、その辺りの設計ですね」
振り返った先、現れたのはミズキ。
建築知識の乏しい者達は二人一組で動いている。
「よろしく!頼りにしてるよ」
「こちらこそです、宜しくお願いします」
丁寧にお辞儀するミズキは、横に並び、仕事の補足説明。
「まずは何から着手しましょうか……」
当たり前であるが、休憩所は1つ造れば良いのではない。
これだけ広いのだ、数はかなりのものになる。
同じ設計にすれば造作ないが、それでは美に欠ける。数種設計は必須。
そう考えるのは、これが評価に繋がると思っているからである。
「月華様は、何かご意見ありますか?」
「ボク?そうだなぁ……マッサージルームとか?」
「まっさーじとは?」
「鍛えた後に身体をほぐす場所だよ」
「………必要でしょうか?」
「ボクのために1つは欲しい」
守護者には回復機能である、“半自動治癒”が備わっているため、疲労を除去する手段がある。
だが、おいそれと使えるものではない。出来るだけ秘匿すべきと言い付けられている。
それは、魂魄の少ない半守護者ミズキも一緒。
この地で、三度戦いが起きるとも限らないため、月華の案は理に適っている───のだが、本来の役割は違う。
物見櫓のような監視所は、別の守護者が製作担当している。
二人が考える事案ではない。
しかし、意見を却下する身分でもないミズキは適当な相槌をするしかない。
「承知しました………過激なことが起きるかもしれませんので賛成致します」
「うん!あとは──」
「一般的な簡易休憩所を多く設けましょう」
「そうだね、外部デザインはミズキに任せていいかな?」
「でざいん、ですか……」
「うん、ボクは内部の調度品とか小物類を揃えるよ」
月華がこの任に抜擢されたのは、守護者の中で一番に美容と健康への意識が高いからだ。
体調管理に気を使う者が適しているし、一般人との交流に抵抗感の無い月華であれば、その目線で考えられると判断されたからだ。
但し、残念な事に、意識であって知識ではない。手探り状態。
最高級の休憩所は造れない。
ただ、審査は誰かがするものではないため、内装は守護者の個人判断。
無論、外装も同じ。
「でざいん………」
ブツブツと考え込むミズキが抜擢されたのは、能力が水辺を探知するものだからだ。
加えて、月華と同じくらいに美容健康意識が高い。
「水源の近くに設けるのは当たり前として、外装は……」
細かい作業の処理能力もある。
純粋な武では月華の方が上手だが、技術力や賢さはミズキが勝る。
「ネルフェールの郷土に合わせる必要は無いですよね。ジルタフの文化を取り入れても?」
「うん、任せる。他の国を参考にしてもいいと思うよ」
勿論、他人への愛想も良し。
初めての取り組み、初めての二人組だが、バランスは一級品。
「良い物ができると嬉しいです」
「うん!頑張っちゃうよー!」
時は昼前、周辺では鉄や木を打つ音が聞こえ出す。
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