第129話 DS建設計画
準備が整い次第始まる、次の会議。
場所は先程と同じ大広間、各国の代表が座っていた席に守護者が座り、グラウスは途中入室したアリサと共に端に立つ。
零はジュンの横に立ち、陰牢は着席する形。
「遅くなり誠に申し訳ございません」
深々と謝るのはアリサ。
「いいわよ」
「ありがとうございます、ジュン様」
(問題……なさそうね)
アリサの体調を気に掛けるのは一瞬、直ぐに本題へと入る。
「さてっと、今から重要な会議を始めるわ。その名も〈DS建設計画〉よ!!」
「「DS建設計画!??」」
一同が驚くのも無理はない、誰にも告げていない案件なのだから。
「それは何ですか?」
「ふふん、分からない?」
「はい……不出来で申し訳ありません」
「謝らなくていいのよ、そもそも───」
「もしかして、例の〈読書会〉のDSですか?」
「読書会………!」
(そう言えば、そんな会あったわ!一度だけ開催したんだっけ?私がいなかったんだっけ?ドラゴが考案したけど不発に終わったような……というか、まだ継続してるのアレ?)
帝王ドラゴと征服王ジュンが友好の証として取り決めた条件の1つ読書会は、3ヶ月に一度、同じ場所且つ二人っきりで読書する内容で、翌月プレ開催をすることになったものの、ニシミヤライトに嘘言って赴かせ、その日は男二人で読書して終わった会のことだ。
(もう自然消滅したんじゃないの?)
有耶無耶になってて欲しい、そう思うのはジュンだけ、ドラゴが生きている限り継続中ではあるが、今回のDSとは読書会のことではない。
(そもそも、バレちゃいけないのよ。だから分からなくて正解。DSは〈デートスポット〉の意味なんだから)
ジュンだけが使う、デートスポットの意。守護者やグラウスたちが正解に辿り着ける筈がない。
「──っと、読書会じゃないわ。そうね……〈夢と秘密が詰まった場所〉という感じかしら。DreamとSecretのDSね」
悟られてはいけないがために、敢えてそれらしい嘘を付く。
「どりーむとしーくれっと……」
「なるほど!合点がいきました!」
「オレにはよく分かんねぇぞ」
「楽しい場所ってことですか?」
「遊べるような感じかなぁ?」
「ニャアは面白ければなんでもいいニャ」
「建設ってことは、それも私たちが造るってことですよね?」
「具体的にはどのような感じでしょうか?建設場所は?私共の役割は?」
「ええい、五月蝿い!!ジュン様の御前だぞ!!」
一喝したのは紅蓮も、当人のジュンはまぁまぁと落ち着かせる。
「場所はネルフェールにしようと思うの」
「え?」
「あの地ですか?」
「何もないですよ」
「だからよ。加えて代表者も……まぁモジャルになるかもだけど、属国なんだから好都合でしょ。予定では全域を使うつもりね」
「それで、夢と秘密が詰まった場所というのは?」
「まずは遊園地かしら?」
「「遊園地!!」」
「ゆうえんち、とは何でしょう?」
グラウスやアリサが遊園地という用語を知らないのは仕方ない。
この世界の文明はそれほど発達していない。古城周辺の街にダーツ屋を造ったくらいで驚きなのだ。転生前の早乙女純の生きていた世界とはまるで違う。
守護者にその知識があるのは、ジュンに創造されたからなのと、様々な魂の欠片のその一部を魂魄として宿しているからだ。
「遊園地のほかには、博物館的なのもありかもね。芸術品でもいいし、それこそ各国の品を魅せるのもいい。勿論、販売目的でなくてね」
「では、ジュン様の輝かしい御姿を絵にしても良いのですか?」
「え、ああ、うん。それはまぁ、どちらでもいいけどぉ………」
零からの質問だが、何故かアリサも喜んでいる。
「──っとまあ、後は……簡易的な宿があってもいいかもね。温泉は流石に無理でしょうけど、建設にあたってはスズたちの意見も取り入れるつもりよ」
「───ナカナカノココロミ、ミョウアンダナ」
「「!?」」
聞き分けにくい急な声の主はクロウ。以前より、クロウだけは古城への入城が許可されている。
「貴方でしたか」
「イカニモ、キュウナホウモンスマナイ。ナニヤラ、オモシロソウナコトニナッテイルノデナ」
「この世界の何処かに同じような場所無いでしょう?」
「ダナ。カコニモ、ミライニモ。マサニ、ハツノココロミ、トイウワケダ」
「良かったわ、その確信が取れて」
「ワタシハ、アマリヤクダタナイカモシレヌガ、チシキグライハサズケヨウ」
「ありがとう、クロウ」
トントン拍子で話が進んでいく。
「──んじゃあ、商国の城を直したあとだよな?」
「そうね、その間に計画書を詰めておくわ」
「資材はどうします?」
「足りない場合は帝国から貰って、あそこは潤沢でしょ」
「承知しました」
「建設人員は……何とかなるでしょ」
「はい、だと思います」
「あのぅ、では私たちは何を?」
ここまで話が上手く進むのであれば、残る必要もなかったのではとグラウスが思うのは当たり前である。
「グラウスたちにお願いしたいのは宣伝ね」
「宣伝ですか」
「そう、何も【DS園】は私たちだけが使うってわけじゃないわ。国民然り、属国の民然りね」
「なるほど──ですが、私に……アリサに、その務めができるでしょうか?」
「できると思うわよ。報告書だって、前より良くなっている。零の是正が少なくなってるのはその証拠ね。褒美を与えるほどの成長ではないけど、貴方たちは頑張ってる。だから期待するのよ」
「なんと!嬉しい御言葉!恐縮でございます!」
「誠心誠意、尽力しますことをここに誓います!」
「うん、お願いね。何か分からなければ知識は……クロウや零に聞けばいいと思うし、モウリとかだって力になれると思うわよ」
「ありがとうございます!!」
「これで何も無い地に花を咲かせれるわ。無法地帯を管理するよりかは、幾分かはやる気でるでしょ───ね、型」
「はいですニャ!!」
(まっ、私の個人目的優先なのは誰にも言わないけどね。ふふ、ふふふ……これで合法的に毎日皆と……ぐふふふ。イチャつくわ、美女の身体を堪能するの、日替わりデート計画邁進よ!)
世界征服はまだ途中。
完全なる女体化を手に入れるため、元【聖なる九将】序列第一位ゼロを倒す目的も道半ば。
次なる相手は、おそらくDS建設地隣の妖国グリムアステルに住まう現【聖なる九将】序列第四位ギルテであるのは間違いなく、煽っているように見えるのは百も承知だが、DS建設計画は止まらない。
一時の休憩ではない。
ハーレムライフこそ、最上で至高の目的。
これを続けながら、全て倒せばいいのだ。
少なくとも、ジュンはそう思っている。
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