第116話 各地の情勢③ 古城編
新守護者の籠畏の能力“遊戯盤”は、鞄型の基盤を広げて行う机上遊戯。
今回の対戦方法は1対1の選択制遊戯、攻撃・防御・回避のいずれかを選択して進行する。
ジャンケンにも近い要領だが、互いに攻撃を選んだ場合は、各々確定ダメージが入る。
ダメージの差は、基本値の度合いによって決まる。
そのため、基本値を底上げする必要性があり、山札が存在する。
行動選択の前には、その山札から必ず1枚を引かなければならない。
札の効果は、基本値の底上げ以外に、武器を追加するなど様々で、効果時間が一定のものもあれば、1回きりもある。
要するに、強化の見極めは各々の判断。
だが、時間をかけることはできない。
行動選択の時間は3分と決まっており、それ以内に決まらなければ、選択無しと判断され、2ターン無防備状態を晒す。
互いの体力数値は視え、防御は攻撃を軽減することができ、回避は運の要素が含まれるが、成功すれば攻撃を無効化できる。
その他にも、幾つか細かい設定はあるが、説明書は対戦相手も視ることが可能───いや、そもそも脳内に直接、説明書が記憶付けされるため説明は不要。
即刻、開始となるわけだ。
この能力は、紅蓮の領域形成にも似ているが、情景変化はしない。
もっと別の、強制力ある空間を作り上げるという意味合いの方が正しい。
何故なら、ダメージを受け損傷するのは、互いを模した人形だからだ。
本体が受けるのは、精神ダメージのみ。
「早く選択して、あと1分」
「ぐぬぬ……」
「もういいかい?まぁだだよ?」
「気が散るではないかっ!!」
籠畏が能力を発動している間、つまり勝敗が決するまでの時間は、その場の移動が制限される。
札を取る・触る程度で、逃亡・離脱は不可。
行動制限は、籠畏も一緒だが、他人の干渉を受けないのは特性であり、相手が考えている最中も勝負の行方を左右する時間となる。
煽りや暴言は有効打に成り得るということ。
「何を選んだの?」
「お……しえるわけなかろうが!」
「そう」
最初の選択は───
「攻撃だ!」
「防御選択」
籠畏の体力数値が減り、それに合わせて人形にも少し傷が入る。
「ふん、どうだ!急な展開に少々焦ったが、蓋を開けてみればなんとやらだ。この勝負貰ったぞ」
「まだまだこれから」
その後も、籠畏は防御のみを選択し、少しずつ削れていく。回避を選択しないのは運要素を嫌ったのもあるが、相手の格好が素早い忍者風な服装であり、一撃が大きいと判断したからだ。
一方、ロクドウは攻撃一択。攻撃さえすれば負けないと考えた。それ自体に間違いはない。誰だって、そう選択するだろう。
だが、この勝負における最大の要素は札の使用時期だ。
ロクドウは毎回の選択時に使い、少しずつ底上げしている。
方や籠畏は一度も使用せず、溜めたまま。まとめての使用は可能であり、ここぞという場面に取っているのだ。
そういう組み立て方があることを、ロクドウは気づいていない。
「おい、もう半分切ったぞ」
「……」
「他愛無いな」
「何を選択したの?」
「そんなの分かりきってるだろう!」
「ションボリ」
籠畏の体力数値が半分を切っても、ロクドウは手を緩めない───がしかし、ロクドウの攻撃は当たらなかった。
「何!?回避だとぉ??」
使用した札は1回だけ、極限まで運気を上げる効果だった。
「はっはっは、なるほどな。してやられたか……まぁいい、次は無い」
そう、次は無い。
だが、万事休すではない。
札を全使用すれば立場は逆転する。
しかし、そんなチンケな選択をする彼女ではない。
「攻撃選択、手札使用、紅蓮の“真なる光球”」
「はっ………?」
人形の真上に灼熱の太陽が出現する。毎ターン、永続炎ダメージが確定する。
「はは……なるほどなるほど、問題な……い」
籠畏の残り体力数値は3割。
「こ、攻撃!」
「防御選択、手札使用、唯壊の“破壊者”」
攻撃は直撃したのに体力数値が減るのはロクドウ、それも倍以上に削られる。
「えっ、えっ……えぇ!!??」
体力数値3対7…………
3対5…………
3対3…………
3対1…………
「──何を選択する?」
「あっ……うっ……」
時間切れ、無防備状態。
「攻撃選択、手札使用、武器形成、紫燕の銃」
成す術なしの木偶の坊。
「バァァァン」
「うぐっ………」
本体が削るのは精神だが、人形と同じく風穴空いたようにぐったり倒れる。
侵入者は、このまま誰かの玩具になる。籠畏は、そういう面倒なことはしない。
戦い終われば自室に戻り、本を読み、人形を作る、ただそれだけ────
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