第106話 猫と犬
「差出人不明……ねぇ」
差出人は確かに不明───だが、文章を要約すればただのお茶会、戦争国家ネルフェールの現女王ネルが催す会に参加しませんかという誘い。
一文にネルの名前が入っているので間違いない。差出人名を明記していないのは些か疑問だが、書き忘れたと判断したのは属国である所以。
形式ばった堅苦しさをやめるため───
「もしくは、サプライズ的な意味を込めてかもしれないわね」
「では、参加しますか?」
「そうね。一応の確認だけど、管理者は型よね?最近、変わったことはあった?」
クロウとの契約式の後、残る国の管理者が決定した。
戦争国家ネルフェールを型が、小国レジデントを博が受け持つことになっている。
守護者としての在籍期間から考えれば異例の抜擢となるものの、それだけ人材が不足していたのだから仕方ない。戦闘面を重きに置いた守護者を創りすぎた結果でもある。
ちなみに、ユーリース共和国の管理者は月華。こちらも異例と言うべき本人の挙手により決まっている。
(知見を広めたいっていう理由だけど、何か他にもあるのかも、気になっちゃうわね……っと、今は会議中だったんだわ)
創造主が疑問を口にしても、別の事を考えているようでもあれば配慮して待ち、後ほど返答するのが、スーパーメイドこと零の十八番であるが、それをしないのは質問されている相手が型だからだ。
大広間には、いつもの面々が集まっており、型に視線が集中している。
だが、猫は能天気そうに返事した。
「おい、もっと真面目に答えろよ」
これには、流石の犬も怒る。
「ニャって、本当に知らぬ存ぜぬニャンだよ」
「だからって、オレの主に失礼だろ」
「そう言われてもニャァ、イッヌーは煩くて困ったニャンよ」
「あぁ゙ぁん!やんのかてめっ!」
時折発生する言い争いは、水と油の様。犬人間を創ったから猫人間を創ってみようと考えた、ジュンの適当さもあったかもしれない。
「二人とも静かに、ジュン様の御前ですよ」
冷たく皮膚に刺さるような言により、静かになる獣たち。
満面の笑みに身震いするのは本能でもある。
「あ、うん、ありがと零。じゃ、何人か連れて茶会に行きましょうか。私が行っている間に何か問題が起きた場合は、各々対処でよろしく、いい?」
「はい!」
「了解です」
「お任せください」
個人で判断できる頼もしい守護者がいるのは安心でしかない。
ジュンの気分も浮足立つというもの。
服装をどうするか、そんな話題を切り出しながら会議は順調に終わった。
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