第101話 完全なる条件
クロウとの契約により、可愛らしい女の子になってしまったジュンは体裁気にせず怒鳴っていた。
「どういうことよ!!」
理想とはかけ離れた姿である。ボインボインの美女ではない。女体化ではなく、女児化。
確かに性別は変わった。大嫌いな男ではなくなった。
しかしこれでは、0から1になったくらいで期待を裏切ったものに他ならない。
「説明しなさい!」
お怒り状態全開の剣幕だが、女児の姿で服の襟を掴むのは微笑ましくも見える。
まるで姪っ子に叱られた叔父とのやり取り。ママゴトでもしている最中なのではと思わせる。
「ワタシモナニガナンダガ……」
それよりも、この状況下において一番の不自然は、ジュンの守護者たちである。
誰一人、一緒になって詰め寄らない。特に懸念していた唯壊でさえ、動こうとしない。
(どゆこと?男の私を好いてた風に感じてたけど……)
「あらあら」
「ちっちゃい」
「可愛いぃ」
「ありです」
「流石はジュン様」
(??皆、もしかしてレズだった??いや、そんな風には創ってない……はず──もしかして私の姿が変わったから影響したとか??)
考えても答えは出ないが、意外な所で反論者は出た。
「どういうことですか!もっとイケメンにしてくださいよ!」
変人だ。
「女性は断固反対です!!」
「イヤ、シカシソレハ……」
(うわぁ、やっぱりあいつゲイだったんだ)
「これでは忠誠を捧げた意味が!」
「ムリナモノハムリダ」
変人の魔の手から遠ざかったと考えれば成功ではあるが、できればやり直したい。
この身体では、考えていたイチャイチャはできない。
「オモイガフクザツダッタノハアル。ソレトドウジニ、ナニカニハジカレタカンカクガアッタ」
「弾かれた?」
「ソウダ」
「……ッ」
自身の体を創り変えれないのと一緒で、何らかの力が生じ、ジュンの夢を阻んだのだ。
これは世理の事象改変と同じ、クロウの能力でも無理だったのだ。
「ダガ、カノウセイハマダアル」
「どういうこと?」
「ゼロヲタオスノダ」
期限は1年だが、ゼロを倒して、クロウの体を元に戻すことができれば継続される。契約更改するという意味だ。完全体となったクロウならば、同じミスは繰り返さないと言っており、完全なる女体化を実現できるということ。
但し、これには確実性がない、信じるしかない。契約更改時まで待つ必要だってある。
「事象改変は難しい?」
「アア、コウカナシダトオモウゾ」
やってみる価値はある。しかし、他者の事象改変を年2回と決めていることで、残りは1度しか使えない。
今ここで使うべきかは非常に悩む。それに、守護者を創り変えないと信条で決めている以上、最早どうすることもできない。つまり、可能性は潰えていないのだが、他に宛がないために、クロウの言葉に縋るしかないのだ。
「ふぅ、わかったわ。私が……いいえ私たちが、必ずゼロとその一味を倒し、呪いを解くわ。でもいい?それでも叶わなかったら、あなたを八つ裂きにするわよ」
「ココロエテイル」
「はぁ、契約成立ね」
(こうなったら世界征服と同時にハーレムライフもしてやるわ。女児ではあるけれど、前よりは条件いいもの、世界が私を阻むなら何度だって破壊するし、覆してみせるわ!!)
未だ嘆く変人をよそに、クロウとの契約式は終わる。
ジュンの新たな物語───ではないが、新たな体を得ての征服活動が幕を開けるのだった。
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