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短編番外編  作者: こうが


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4/4

「その情熱は誰のため?」番外編

本編はこちら

https://book1.adouzi.eu.org/n0895lj/

 初めてオリヴィアと会話をしてからすぐ、オリヴィアからお茶会の招待状を受け取ったミラナは驚いた。

 出会いを思い返すと恥ずかしくてたまらないが、オリヴィアに再び会ってみたかった。


「ようこそお越しくださいました、楽しいお茶会にしましょうね」


「お招きありがとうございます、よろしくお願いいたします」


 オリヴィアへの挨拶としてカーテシーをしたミラナだが、少しふらつき羞恥に頬を赤くした。


「オリヴィア様、無礼を承知でお願いします。私のカーテシーを見て率直なご意見をお願いします……!この先を考えると今のままでは……」


「……ミラナ様、何とご立派なお覚悟を……では、僭越ながら申し上げます。恐らく基本はご存知と見受けられますが、筋力が足りておりません」


「筋力、ですか?」


 姿勢や指先への意識の向け方を注意されるかと思っていたミラナは、思いもよらないオリヴィアの台詞に目を丸くした。


「筋力です。このように―」


 オリヴィアは言いながらカーテシーをした。

 背筋は伸ばしたまま、膝を曲げたオリヴィアの姿勢はぶれなかった。


「背筋を伸ばしたままでこの体制をキープするためにはお腹に力を入れておく必要があります。ミラナ様はお腹の力をコルセットだけに頼っていると思われますので、まずはご自分の筋力を育てる必要があると愚考いたしますわ」


 すっと姿勢を戻したオリヴィアの背筋は自然にすらりと伸びていた。

 背筋を伸ばした状態で膝を曲げる体勢を保つ難しさは承知していたミラナだったが、何となく形になっていればいいと思っていた。

 オリヴィアが示した姿勢の美しさに、ミラナはオリヴィアについ言ってしまったのだ。


「早速鍛えてみます!」


 その言葉にオリヴィアのやる気が燃え盛ってしまった。

 筋力をつけるため、と片足を後ろに引き、反対の足は膝を曲げたままの姿勢で体中に力を入れたままミラナはオリヴィアに励まされていた。


「そうです!頭の位置はそのまま、肩が内側に入ってますわ!肩を広げるように、膝もその位置でキープ!流石はミラナ様です、そのまま後1分頑張りましょう!」


 隣で同じ姿勢を保っているオリヴィアにミラナは必死で腹筋に力を入れた。


「こ、こうでしょうか……」


「その角度です!素晴らしいですわ!ではもう少し膝を曲げてみましょう!」


 さらに力を入れて体勢を維持するミラナをオリヴィアは更に励ました。


「オリヴィア様……少し厳しいです……!」


「美しい姿勢にはしなやかな筋肉が必要なのです!さあ、その姿勢で後30秒耐えて下さいませ!」


「は、はい!」


 ミラナはじんわりと額に浮かぶ汗を拭う余裕もなく、涼しい顔で同じ姿勢をキープしているオリヴィアを横目で見た。

 自分より華奢に見えるが頭の位置はぶれずに姿勢も揺るがない、

 どれほど努力を重ねたのかとミラナは少し落ち込んでいた。


「さぁ、よく頑張りましたね、素晴らしい体勢でしたわ」


「本当ですか……?」


「えぇ、基本がしっかりしておりましたもの、ミラナ様が努力されていたのが分かりますわ」


 今までの家庭教師からも、両親からも、出来ることよりも至らない事を指摘されてきた。

 ミラナにとっては勉強もマナーレッスンもできないことを積み重ねられるだけだったが、オリヴィアはほんの少しできたことを褒めてくれた。

 オリヴィアにとっては些細な事だったかもしれないが、ミラナにとっては胸の奥に常にあった焦燥感がなくなる心地だった。


「ありがとうございます……そんな風に言って貰えたのは初めてです……」


 震えそうな声を抑えてか細い声でミラナが言った。


「まぁ、できないことの方が多くて当たり前ではありませんか。筋力だって一日では育ちませんもの。出来る事を一つずつ積み重ねることが大事なのだと私は思いますわ」


「はい……」


 少し俯いて返事をしたミラナの手を取り、オリヴィアは席に案内した。


「さ、お茶をいただきましょう。今回は私の好みで用意しておりますけれど、次はミラナ様のお好きなお茶をご用意しますからゆっくり聞かせてくださいね」


「次、もあるのですか?」


 一回限りと思っていたミラナは恐る恐るオリヴィアに尋ねた。


「もちろんですわ。大事な筋肉はお腹だけではありませんもの。次は別の筋肉を育てましょうね」


「別の筋肉ですか……」


 ほんの短時間でも筋肉痛になりかけているが、次を思うと楽しみと少しの戸惑いが浮かんだがミラナは覚悟を決めた。


「是非とも、よろしくお願いいたします……!」


「その意気です!努力ができる方は素晴らしいですわ。背中にもしっかりと筋肉をつければ肩が丸くなることもございませんし、美しい姿勢が苦も無くできるはずです」


 優雅にティーカップを傾けるオリヴィアの動きを真似しながらミラナは次の約束を楽しみにしていた。


 終

意外に素直な子なのでは、と感想いただいて確かに、と思ったので書いてみました。

ちゃんと紅茶飲んでます。プロテイ●ではありません。お茶請けもお菓子です。ゆで卵や鶏ささみはピクニック用にとってあります。

出来たことと出来なかったことを並べて出来なかったことが重くなっていくってありますよね。

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