嫁が嫁すぎる
どうにか投稿できました!
推敲少な目なので、誤字が多いかもしれません……え、いつものことだろうだって?
ハッハッハッ
ギャルゲーである『恋守護』は育成ゲームとしての要素が盛り込まれていて、キャラごとに能力値があり、主人公によってタイプが変わる。
更には主人公もヒロインと同数存在しており、女性をターゲットにした通称乙女ゲームバージョンもあったりする。
もちろん僕は愛浬を主人公にしてプレイした。
こちらもギャルゲー版と同じく育成ゲーでもある。
ステータスは、筋力、速度、知力、マナ量、マナ操作、魔法、格闘の7つ。
筋力、そのままで腕力などに直結する数値で高いほど力が強い。
速度、走る速度に直結する数値で高いほど速くなる。
知力、学力や理解力に直結する数値で、これが高いほどテストで高い点数が取れて、訓練でも経験値の取得率が高くなるお得なステータス。
マナ量、書いて字のごとくマナの総量で数値が大きいほど魔法の扱える回数や規模も多くなってくる。
マナ操作、数値が高ければ高い程高度な魔法が扱えマナの消費も抑えたりできる。
魔法、数値が高いと扱える魔法の数が増える。要は魔法に対する才能の数値で高いと魔法向き。
格闘、これは格闘の才能を数値化したもので、高ければ高い程格闘向き。
基本的に、最後の魔法と格闘の数値を見て育成方法を決める。
キャラによっては魔法も格闘もどっちもござれなオールマイティーなのが居り、実は愛浬がこれだったりする。僕の嫁マジチート!
なんでこんな話をしたかというと、
「凪沙、お前は既にその歳でマナ量とマナ操作が一定に達したのか……そのままでは意味がないが、これは教えがいがありそうだ」
そうなのだ。
マナ量とマナ操作が高くても、そこに格闘や魔法の能力が加わって初めて意味を成すステータスだったりする。
オーラが出始めるのがマナ量とマナ操作共に6必要としよう。そこで今の僕のステータスを簡単に表すと、
筋力:2
速度:2
知力:4
マナ量:6
マナ操作:6
魔法:1
格闘:1
みたいな数値になっているのかな。
前にステータスオープン! などと叫んでみたけれど、ゲームの様にステータス画面が現れることはなかったので適当な数値だけどね。
「だが、それだけでは駄目だ。しっかりとした武術と魔法を学んでいかなければ宝の持ち腐れになる」
師匠が言うように、オーラが出たからと言ってすぐに強くなれない。
身体強化も、素体の力を底上げしてくれるだけで無条件で強くなれる訳ではない。
「よし、凪沙はそのままの状態を維持しろ。そしてその感覚を体に刻み込め。愛浬は私と共に引き続き、マナ操作の訓練だ」
「「はいっ!」」
愛浬と一緒に勢いよく返事したけれど、意外とオーラの状態を維持するのが難しい。 集中を切らせると揺らぐ感じがするから、マナの流れを常に意識しておかないとダメだ。
集中し続けていると、コツの様なものを掴めた気がする。
前世の漫画やアニメの知識を元に色々と試してみた結果、血液の様に体を巡るイメージをすると以前よりもスムーズにマナが動く。
あとは、コレを意識しなくても出来るようになれば!
「よし、そこまで」
「へ?」
そのまま続けようとしていたら、師匠の一言が耳に響き集中が途切れた。オーラも集中力が無くなったから霧散した。
とりあえず一息入れて、辺りを見渡すと愛浬が疲れた様子で汗を裾でぬぐっており、かき分けられた前髪から除くオデコが汗できらめいておりセクシー。
武道少女って感じで良いね!
僕も、不意に額からツーッと垂れてきた感触に袖で拭ってみたら汗がビッショリとついた。気が付かないうちに結構汗を掻いていたみたい。
すると、愛浬は小走りで壁際で僕たちの様子を見守っていた佐々木さんの所へ行くとスポーツタオルとスポーツ用のドリンクボトルを受け取り戻ってきた。
「凪沙、ちょっとジッとしててね」
「うん?」
愛浬は言うや否や、手に持ったタオルを僕の顔に当てると、優しく壊れ物を扱うかのように拭き始めた。
「あの、あいり」
「ほら、ジッとしてて」
「ん……」
嬉しいのだけれど、あの、ほら、師匠や佐々木さんが観ているから!
特に佐々木さんなんて微笑ましそうにこっち観ているから!!!
2人に見られながら、汗を拭いてもらうという嬉し恥ずかしのイベントを終えた。
と思っていたら、
「はい、凪沙♪」
とボトルを差し出してきた。
「あ、ありがとう」
今度は手に持っていたドリンクボトルを手渡してきた。
なんという至れり尽くせり対応!
愛浬からボトルを受け取り口をつけると、ヒンヤリとしたスポーツドリンクが口に入ってきた。
ゴクゴクと飲みながら急に甲斐甲斐しくなった彼女に目を向けると、嬉しそうにこちらを見ている。
僕の嫁の嫁力がパワーアップしている……だと!
今まで仲良く遊んだりしていたが、こんな風に世話を焼く素振りはなかった。
一体何があったんだろう…………?
別に世話を焼かれるのが嫌ではないし、むしろ嬉しいしのだけれども、一体何が原因でこうなったのか。
もしかして、あの誘拐未遂件で責任を感じているから、とか? 愛浬の性格ならあり得そう。でも、そんな雰囲気で気負った感じはしないし、それは違うのかな?
「ん~~~~~」
一体何が原因なんだ!
僕が唸っていたら愛浬が、
「急にうなってどうしたの? 体調でもわるい? 疲れた?」
と顔を覗き込んできた。
大丈夫だよ、と応えたが、
「でも、さっきまですごい集中して頑張っていたから疲れているはずよ。はい、ここに座って」
と促された。
確かに結構集中していたらしく、時計の長い針は半分以上進んでおり、全身が汗でビッショリで疲労感もある。
愛浬に言われるがまま座り込んだら、愛浬も隣に腰を据えた。
「凪沙」
名前を呼ばれ、そのまま引き倒されて後頭部を打ち付けた。
何ッ!? と少しビックリしたけれど触れている感触は柔らかく、見上げると愛浬と目線が交差する。
こ……これはもしかして、膝枕では!
驚愕のあまりフリーズしていると、愛浬は僕の額を撫でながら微笑む。
なんてこったい…………愛浬の嫁力が上限突破して更なる次元へ到達しそうだ!
程よく疲れた身体を、極上の膝で横になりながら愛浬に撫でてもらえるなんて。ここは天国に違いない。
「えへへぇ」
ダメだ、幸せ過ぎて頬が緩んじゃう。
ありがとう神様!!!
フォッフォッフォッ、百合はええぞぉ。
心の中で神様に感謝したら、そんなような声が聞こえた気がした。
僕を転生させてくれた百合厨な神様、実は今の僕たちの姿を見ていたりして。そんな訳ないよね!
しかし、そんな至福の時は長くは続かなかった。
「よし、休憩は終わりだ。イチャついてないで再開するぞ」
「イチャついてません。 ……として当然のことをしているまでです!」
師匠の言葉に反論する愛浬。
途中、声が小さくて聞きとれなかったけど当然のことなの!?
訓練は先ほどと同じことの繰り返しで、特に変化はなかったが、先ほどコツを掴んだおかげで他に注意を向ける余裕が出来て、マナ操作に励む愛浬の姿を眺めることが出来た!
フッフッフッ、これでオーラを維持する訓練しながら愛浬の姿が眺めてられる!
この後、空手のような形を行って、僕と愛浬の初めての修行は終わった。
明日もまた来ることになっているので、次はどうするのか楽しみだ。
更衣室で着替え終わり、脱いだ道着を袋に入れる。
隣で着替える愛浬にドキドキしたのは内緒。相手が幼女でも、好きな人なのだから当たり前でしょ! 始める前もドキドキしたけど、汗で張り付いたシャツ……。
え、前にお泊りの時一緒にふろに入らなかったのか、だって?
もちろん、入りましたとも。その時もドキドキしてたのは言うまでもない。
さて、着替え終わったし出ていこうと歩き出したら、
「凪沙、その袋をかして。洗ってくるから」
「え! いいよ。ウチでお母さんに頼むから大丈夫だよ」
「お願い、洗わせて……?」
ギュッと僕が持っている袋を掴み懇願してくる。
オウフ……なんて可愛らしいんだ。
そこまでやってもらうのは気が引けるのだが、どうしてもと言われたらお願いするしかない。
「じゃあ、おねがいね。あいり」
「うん!」
喜んで袋を受け取る愛浬の顔は、それはもう幸せそうだった。




