森の昼ごはん、籠の中の小さな幸せ
ルベル視点
訓練がひと段落したころ。
ルベルは小さく息を吸い、
持ってきていた籠をそっと開けた。
「エレノア。
……昼にしよう」
「えっ? ランチ持ってきてくれたの?」
「うん。」
籠の中には――
今朝早く用意したサンドイッチと、
刻んだ果物、
そしてエレノアの好きなハーブティーポット。
エレノアの目がぱぁっと明るくなる。
ルベルの核が、
また過剰反応しかけた。
(……眩しい……
エレノアが笑うと……
どうしてこんなに……)
けれど彼は慌てず、
静かに敷物を広げ、
エレノアが座りやすいように位置を整えた。
「座って」
「ありがとう、ルベル。
なんか……ピクニックみたいだね」
「……エレノアと……食べるから」
小声でそう言って、
少し照れたように視線をそらす。
エレノアはサンドイッチを手に取り、
嬉しそうにかぶりついた。
「んっ……おいしい……!」
その笑顔や声が、
魔力より速くルベルの胸に広がっていく。
(……守りたい。
これからも……
ずっと)
過剰反応しつつも、
今日の揺れはどこか優しく、
甘く響いていた。
二人で食べる昼食は、
森の静けさと相まって
いつもよりずっと温かく感じられた。




