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禁術で呼んだ“理想の相手”は、人型魔獣の執着愛でした  作者: ChaCha


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森の中、自然に近づく距離

森の小道は朝の光で淡く照らされ、

葉の匂いと湿った土の音が心地よかった。


エレノアはルベルと並んで歩きながら

魔力を整える呼吸をしていた。


(今日は……なんだか歩きやすいな……)


昨日までは、近づくと魔力が揺れすぎて

距離を迷っていたはずなのに――


今は不思議なほど自然。


半歩近くても、

一歩離れても、

違和感なく呼吸が合う。


「……ルベル。

昨日より、歩くの慣れてきたね」


「エレノアが……

昨日、手を……出してくれたから」


たったひと言なのに、

胸がくすぐったくなった。


しばらく歩くと、森の奥の広い空間に出る。


ここがいつもの訓練場所。


「じゃあ、始めよっか。

今日は基礎練習を……」


そう言った瞬間――

ルベルの魔力がふっと寄る。


強いわけではない。

自然に。

風のように。

エレノアに“重ならないよう寄ってくる”形で。


(あ……もう大丈夫なんだ……

この距離でも……)


昨日までは怖かったはずの距離。

魔力が揺れすぎるからと

互いに慎重になっていた距離。


でも今は、

ただ気持ちが落ち着く距離になっていた。


エレノアが手をあげて魔力を循環させると、

ルベルも同じ動作をした。


二人の魔力はゆらゆらと寄り添い、

絡まりすぎず、

離れすぎず、

息を合わせるように揺れた。


(……いい感じ……

こんな風にできるんだ……)


「エレノア。

魔力、きれい」


「ルベルも……やさしい魔力だよ」


それを聞いた瞬間――

ルベルの魔力が嬉しさで“ぽわ”っと膨らむ。


また過剰反応した。


(……ほんと、笑っちゃうくらい素直になったなぁ……)


エレノアは頬を赤くしながらも

自然に距離を詰めるようになっていた。


その変化が、

森の空気をやわらかく包んでいた。



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