表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁術で呼んだ“理想の相手”は、人型魔獣の執着愛でした  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/231

穏やかな朝

朝。

まぶたがゆっくり開いた瞬間、

胸の奥で揺れる魔力が、いつもよりずっと静かだった。


(……なんか……気持ちいい……)


昨日の朝は眠気と気まずさで魔力がぼんやりしていたけれど、

今日は“温度”が違った。


柔らかい。

あたたかい。

甘い。


(あれ……もしかして……私の魔力……落ち着いてる……?)


理由は分かっている。


あの時。

足を取られて倒れそうになった瞬間、

ルベルが迷いなく支えてくれた。


抱き寄せたのではなく、

支えるためだけの手だった。


あの腕の温度。

あの声色。

あの焦り。


それを思い返すと――胸の奥がぽっと甘くなる。


その“甘さ”が魔力に混ざったのか、

今日の魔力はやわらかい波みたいに揺れていた。


(……なんか……変わっちゃったのかな、私の方が)


過剰反応していたのは私。

でも今はただ、

心地よさに変わっている。


……ただし。


階段を降り、

キッチンにいたルベルと目が合った瞬間。


「……おはよう、ルベル」


その何気ない笑顔に――


ふわん


と、ルベルの魔力が跳ね上がった。


「……っ」


ルベル本人が一番驚いていた。


(あ、まだたまに過剰反応するんだ……

特に……笑顔に弱いんだ……)


理由は聞かなくても分かる。


昨日、

彼は“エレノアが笑えば、核が喜ぶ”ことを知ってしまったから。


だから今も、

まるで眩しい光を見たみたいに

ルベルは一瞬視線をそらして言った。


「……エレノア。

今日の……魔力……いい」


「それは……ルベルのおかげ、かな」


再び微笑む。


ふわぁっ……とまた反応するルベル。


(可愛い……)


そう思った瞬間、

なぜか魔力の揺れがお互いに重なって

ふわふわの朝になった。


「じゃあ、朝食食べたら……森へ訓練に行きましょうか」


「……うん。エレノアと行く」


その返事もまた胸に優しく響いて、

魔力の甘さが少しだけ増した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ