表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁術で呼んだ“理想の相手”は、人型魔獣の執着愛でした  作者: ChaCha


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/231

差し出した手に宿るもの

ルベル視点

眠りにつく前、

ルベルは布団の中で

ゆっくり瞳を閉じた。


その瞬間、

昼間の出来事が胸に戻ってくる。


――エレノアがつまずいた瞬間。

――反射で腕を伸ばし、抱き寄せたこと。

――そして、

 そっと“手を差し出した”自分。


(……あれは……

本能が先に動いた)


エレノアが転びそうになった。

それだけで、

核が激しく反応した。


“護れ”

“支えろ”

“離すな”


その全部を押し込めて、

ぎりぎりのところで理性が働いた。


(抱きしめてはいけない。

怖がらせてはいけない。

距離は……エレノアが決める)


だから手を差し出した。

握り返さなかった。


あの一瞬の葛藤は、

今思い出しても胸が熱くなる。


エレノアの指先が触れた瞬間――

核が跳ねた。


でも

“繋ぐかどうかはエレノアが決める”

と自分で決めた以上、

ルベルは絶対にその線を越えられない。


(……あの時、

エレノアが触れてくれて……

うれしかった)


その想いを

胸の奥深くに沈めながら

ルベルは小さく息を吐いた。


(守りたい。

近づきたい。

でも……

急ぎたくない)


本能は“求める”けれど、

エレノアの気持ちが最優先だ。


それを崩したら、

エレノアが困る。

悲しむ。


だから――

ゆっくりでいい。


差し出した手を、

次も取ってもらえるように。


ルベルはそっと枕に顔を埋め、

小さくエレノアの名を呼んだ。


「……エレノア……」


温かい魔力が静かに揺れる。


眠気がようやく訪れ、

瞼が落ちていく。


今日の最後に胸に残ったのは、

つないだ指先の温度だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ