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今日は早めの就寝
日が沈みかけ、
夕食を終える頃には
二人とも明らかに眠気が襲ってきていた。
(……寝不足のせいだ……
今日は本当に……眠い……)
エレノアはテーブルに突っ伏しそうになる。
ルベルも、
普段は揺れないはずの瞳が
少しとろんとしていた。
「エレノア……
今日は……早く寝たほうがいい」
「ルベルもでしょ……?」
「……うん」
お互いに眠そうなので、
今夜は魔力の練習もなし。
「じゃ……おやすみなさい、ルベル」
「……おやすみ、エレノア」
階段を上がっていく足取りもゆっくりで、
声もいつもより柔らかい。
昨日は眠れなかった二人。
でも今夜は――
きっとすぐ眠れる気がした。
魔力が安定している。
心も落ち着いている。
それだけで十分だった。
部屋の灯りが順番に消え、
ふたりの“優しい夜”が静かに始まった。




