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気づかれている
朝食を並べて、ようやくテーブルにつく。
ルベルはエレノアを見つめながら、
小さく、しかし確実に口角を上げた。
「今日も……エレノア、嬉しそう」
「え!? わ、私そんな顔してました!?」
「わかる」
「なんでわっ……かるんですか……」
「全部、見てるから」
すっと落ちる低い声。
――この人、
私の心の動き、全部気づいてる……?
エレノアはスープをすくいながら、
胸の奥がほんのり熱くなるのを感じた。
怖いくらい優しい。
怖いくらい近い。
でも――
(怖いだけじゃ……ない)
それが一番、エレノア自身を驚かせた。




