14/231
村の入口
人が見え始めた瞬間――
ざわ……ざわ………
周囲がざわついた。
「……あれ、エレノアじゃない?」
「え!? ボッチのエレノアに……?」
「後ろ……誰あの背の高い人!?フード深っ!!」
「えっ、なに、護衛?恋人?え、いやいやいや……?」
エレノアの胃が、ぎゅぅぅっと縮む。
(ひぃぃぃぃぃぃぃ!!
見られてる!見られてる!
無理!! 帰りたい!!)
さらに。
「ねぇ、あの人……絶対顔がいいでしょ」
「わかる……フード越しでもイケメンの雰囲気が漏れてる……」
「え、エレノアってそんな……そんな……え?」
(やめて!!心がしぬ!!)
エレノアは震えながら早足になり、
ルベルは速度を合わせて静かに後ろを歩く。
静かに――だが存在感だけは消えていない。
というより、
ルベルが歩いているだけで周囲の視線が吸い寄せられる。
(うう……納品だけして早く帰る……っ!!)
エレノアの中の“ボッチの防衛本能”が最大まで発動した瞬間だった。




