表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/174

2ー32【湯船の女神は自己中で1】



◇湯船の女神は自己中で1◇アイシア視点


 今頃、イエシアス様とウィンスタリア様が向かっているはず。

 あたしたちがこうして(・・・・)いて、良いのだろうか。


 カポーン――


「……はぁぁぁぁ〜〜〜〜〜」


 豪快な、尚且つ高齢男性のような声が反響する。

 そんな声を上げる女神、アイズレーン。

 あたしが近い将来、成るはずだった……【豊穣の女神】。


「凄く豪快ですね、貸し切りだからいいですけど」


 同じ湯船の中で、そんな言葉をかけるあたし。

 そして天井(てんじょう)を見上げて気の緩んだ声を出すのが、アイズレーン……アイズさんだ。


「なら言うんじゃないわよ……滅入るじゃない、やる気が」


 何に対してのやる気なのだろう。

 今日だって、基本的にだらけていたし、食べて寝て、笑って寝て、こうしてお風呂でくつろいでいる……なんて幸せなのだろうか。


「行かなくてよかったんですか?」


「どこに〜?」


 分かってて聞き返しているんだろうけど、いやらしいんだから。

 視線も合わせようとしないし。


「他の女神様の所です。お三方、集まっている頃ですけど」


 アイズさんも、他の二人……イエシアス様とウィンスタリア様の二人と同じ場所にいた。知らないはずがないのに、どうしてこんな行動をしているんだろう。


「あっそ。あたしは別にいなくていいのよ、それに、アイシアだってここにいるじゃない」


「誰かさんに無理やり首根っこを掴まれて阻止されたので」


「誰でしょね〜」


 誰でしょうね、本当に。

 冗談を言っても受け流す、誤魔化す、冗談で返す。

 行きたくなかった理由があるとすれば、仲がよろしく無いイエシアス様だけど……よく考えたら【四神教会(ししんきょうかい)】では普通に一緒にいるしなぁ。


 話す内容だとしたら……


「アイシア」


「……え、あ、はい?」


 考えようとした矢先、その紫の瞳があたしを射抜いた。

 ゾッとするような圧力が込められた、異様な雰囲気を乗せた視線。

 まだ返事をしただけなのに、喉がゴクリと鳴ってしまった。


「あんたは、全力でオルディアナをやっときなさい。下手にあたしたちと同じ行動をしていたら、あたしたちのような擬物(まがいもの)になっちゃうわよ?」


「それって、どうい――」


 ザバァァァァ……ン。


「う意味……げほっ、げほっ!」


 子供のような行いに、あたしは怒りよりも先に呆れが先行した。

 びしょ濡れの髪、顔もお湯で濡れて、口の中にまで入ってしまった。


「どういう意味も何も、毒されるって事よ。それでなくてもあんた、あたしに成ろうとした前科があるんだからね」


「……なんですか、それ」


 前科って、確か犯罪歴の事だったわよね。

 幼い頃に、ミオとクラウさんが話していた記憶がある。

 あたしがやろうとした事って、犯罪だったの……?


 ジト目で睨むあたしに、アイズさんは榛色(はしばみいろ)の髪に染み込んだ水分を絞り出しながら言う。


「この世界で誕生した(あんた)は、唯一の可能性を秘めた存在なのよ。だからあたしたち……主神に創られた神と一緒にいたら、思想まで偏っちゃうわ。話し合いの場なら尚更ね」


「!……だから、あたしを連れ出して?」


「まぁ別に、そこまで配慮する必要は感じられないんだけど、一応ね」


 それで自分も話を聞けないとなれば、後でゴネませんか?

 特にイエシアス様あたりに、突っかかりそうで……止めるのは、絶賛あたしなんですけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ