2ー28【神の選択ミス3】
◇神の選択ミス3◇ミーティア視点
イエシアス様はエリアルレーネ様の隣に座り、熱を測るように額をつけた。
「ん、なに?」
「やっぱり、すごい熱よ?」
呆れるように、イエシアス様が言う。
その言葉に一番反応するのは、信者であるライネとロイドさん。
「――え」
「なっ!」
もしかして、もう既に影響が出ている?
信仰度が極端に減って、神そのものの存在に影響が……?
でも、いくら皇帝陛下とはいえ、国民に対して自分の信仰を変えろと言うのは簡単な事だろうか。それも、こんなにも急激に。
「バルザック……」
眉根を寄せて、エリアルレーネ様は訝しむ。
そして結論に至る。こんなにも極端な信仰度の低下、その要因を。
「まさか、この事態も想定されていた……?」
「どういう事ですか?」
「皇帝バルザックと言う男は、野心を抱かない平和主義者でした……自ら攻め込む事を許さない、守りに徹した政策を主軸としています。大陸一の領土に満足はしていたはずですから、今更侵攻など考えるはずもないのです……ですが、もし私たちのような女神が一つの場所に集結する事まで想定されていたとしたら」
現在のここ、【アルテア】の事ね。
「更に考えられるのは、攻め込む理由です」
それに、イエシアス様が。
「領土以外に欲する物が現れたとしたら……そんなもの自ずと出るわね、ここ最近で最も突出した存在、何もかもを覆す可能性を秘めた――」
そうか……それなら、その可能性なら。
私も、ライネもロイドさんも気付いた。
この二年で急激に世界を変えた、新たな存在。
「……精霊、ね」
「でしょうね。その精霊が封印されていたのが……まさに北東。帝国から進むべき場所だわ」
女王国ね。
その場所へ行くには、【アルテア】を進まねばならない。
だから進軍が必要になる。例えそれが侵略だと言われようとも、国の理念を曲げようとも。
「で、でも……じゃあ何故、陛下はセリス殿下を……?」
「そもそも、陛下はどうやって精霊の情報を知ったのでしょう」
ライネ、ロイドさんが言う。
確かに、セリスを切り捨てる理由にはならない気がするわね。
それに精霊の情報も……今まで静観し続けてきた帝国が、知っていたとも思えないけれど。
「……繋がっていた可能性はありませんか?」
繋がって……?
精霊と関わりのある……誰か。
「――まさか」
ハッとして、口に出してしまう。
室内の視線が私に注がれる。
「あ……えっとぉ」
聞き役に徹しようとしたのに、口を出してしまった。
でも……この可能性は否めない。だから言おう、きっとその方が、私の為にもなるはずだ。
「こほん……えと、エリアルレーネ様が言いたいのは、帝国の皇帝陛下と……目下ミオの……いいえ、私たちの敵である、アリベルディ・ライグザールと繋がっていた。という事ですよね」
一番可能性があると思ったし、予感的な、そんな直感が働いた。
「ええ……私も、そう思っています」
だけど、そう断定するにはまだ足りない。
あくまで可能性。でも……心の何処かで、それはもう確定事項かのように思えて、私は、少し怖くなった。




