2ー26【神の選択ミス1】
◇神の選択ミス1◇ミーティア視点
ミオからの連絡が終わり、ライネが【AROSSA】を切る。
この場には私、ミーティアもいたけれど……口出しはしないでおいた。
「ありがとうミーティア、【AROSSA】を貸してくれて」
「いいえ。でもよかったわ、連絡が取れて」
ライネが渡すのは、私の端末だ。
それを受け取り、一応確認するも……やはり通信は切れていた。
ま、まぁ私はいつでもミオと連絡取れるし、いいんだけどね……いいんだけどね?
「あ、ごめん!勝手に切っちゃった……」
ライネがあわあわしながら言う。
長い前髪から覗く心配そうな視線が、なんだかとても可愛い。
でもね、私はそんな事で怒らないわよ?なんでそこまで慌てるの。
「いいのよライネ、今回は私、外からしか援護できなさそうだから」
理由はいくつかある。
その大本の原因は、【コメット商会】の仕事があるため。
だから今回は、影から仲間たちを支えようと思っているわ。
「……そんな事はない。ミーティア嬢、助かっている」
ロイドさんがそう言ってくれる。
「それならいいんですけど……すみません、エリアルレーネ様」
エメラルドグリーンの髪の女神様は、椅子に座りながら悲しい顔をしていた。
眉尻を下げ、俯き影を落として。
「貴女が謝る事ではありません。今回の騒動は、この私……エリアルレーネが、皇帝バルザックの真意を見定められなかった事、唯一つなのです」
シュン――としてしまう女神様。
そう言えば、エリアルレーネ様は大昔から帝国で崇められていたのよね……きっと皇帝が産まれた時から知ってる。
だからこそ、今回の騒動を受けてのショックが大きいんだ。
「私は愚かです……こんな事なら、【カリオンデルサ】から離れなければ……」
「それは違いますよエリアルレーネ様」
「そうです。エリアルレーネ様が導いたからこそ、皇女殿下はこうして羽ばたけたのですから」
ライネが寄り添い、ロイドさんが正面から女神様を慰める。
私は部外者だし、聞き役に徹しましょう。
外から見て考えられる事もあるだろうし、ね。
「ですが、まさか娘のセリスにまで害を加えようとするとは……」
「そ、それはそう……ですね。大臣閣下ならまだしも、まさか陛下が」
皇帝の弟、王弟という事ね。
大臣の立場のその人が、次の玉座を狙って……なら、確かに納得が行く。
簡単に言えば、クーデターだ。
でもそうじゃなくて、皇帝自らが皇女をその座から引き摺り降ろしたという事。
「今思えば、オーザルはセリスに期待していたのでしょう。自分の娘よりも、次の皇帝に相応しいと」
オーザルというのが、大臣かしら。
娘、セリスの従姉妹にあたる人物か……自分の子供よりも、姪っ子に期待をして。でも、その期待も無意味に終わったんだ。
「大臣閣下は、事あるごとにミオとの会談を望んでいました……もしかしたら」
「オーザル大臣閣下は、バルザック陛下の思惑を、遠回しに殿下に……」
二人の言葉を聞いて、エリアルレーネ様は。
「ですがオーザルは、極力私との接触を避けていましたね」
もしかして、女神に気付かれたくなかった?
皇帝の思惑に勘付いていても、女神に知られたくはない……その真意って、いったい何かしら。




