2ー23【恋人でも幼馴染でもない私2】
◇恋人でも幼馴染でもない私2◇セリス視点
そうこうしていると、ミオが帰ってきた。
両手に、縄で括った魚をぶら下げて。
「あれ、もう起きてたのか」
「ミオ、おかえり〜」
ひしっとミオに抱きつくフレイ。
あ、あれぇ?私への態度がぜんぜん違うんだけど?
「うわっ!おいフレイ、汚れるだろーが!」
ミオは瞬間的に魚を持つ両腕を広げてフレイが汚れないようにしていた。
こういう配慮が出来るから、あの二人も……って!!馬鹿馬鹿馬鹿……私の馬鹿!!
私はブンブンと髪を振り回して。
「と、と、ところでミオ、その魚は?」
「……髪ボサボサだぞ〜セリス、外に洗い場あるから、整えてこい。こっちは準備しとくからさ」
「え――やだっ」
なんで急にそんな。
ちょ、駄目だ。見てられない、恥ずかしい。
駄目なのに、絶対に駄目なのに。
「か、顔洗ってくる!!」
「おう」
「いってら〜」
外に出ると、まだ寒い。
昨日は余裕がなかったからか、寒暖なんて気にしなかったんだ。
まぁ、今もまだまだ余裕なんてないけど。
「はぁ……どうしちゃったのよ、私らしくない」
桶に入っている綺麗な水。
ミオが用意してくれたのかしら。
パシャパシャと。
「ふぅー……ちょっと冷静になったかも」
落ち着こう。
私はただの友人。友人なんだから、友人。
そう……友人、友人……かぁ。
ビシッ――!!
「はぅぐっ!」
冷たい寒空の下で、冷えた頬をビンタした。
馬鹿みたいな考えばかり出てくる。
他人の物語に割り込んで行くような、そんな行動だ。
「よし――お待たせっ」
「おう、焼き魚でいいか?って……ほっぺどーした!?」
ま、まぁ気にするわよね。
「虫がいたのよ、叩いただけだから安心して。それはもうしつこい感情でね、思い切り叩いてやったわ!」
ドヤァ。
「そ、そうか……」
あれ、引かれた!?なんで!?
しっかり気を引き締めたのに……
そんな私をスルーして、ミオは家の別室へ。
そ、そういえばこの家、ご夫婦が住まわれてるんだったわね。
「奥様、これ残りで申し訳ないんですが……近くの川で取れた魚です。内臓は処理してあるので、お好きなように食べられますから……どうぞ」
「あらぁ、悪いわねぇ……お兄さん」
そうか、あの大量の魚は一宿の恩義だったのね。
ミオは戻ってくる。朝食の準備をしていたフレイの横に立ち、手伝いを始めた。
そういう所が良い――じゃない!!ああもう!どうしたらいいのよ!!
顔が熱い。今さっき冷やしてきたばかりなのに。
心臓が痛い。そんな事を考えている場合じゃないのに。
判断が正常じゃない。今までこんな事、どんな男性といてもなかったのに。
私はきっと、立場を追われておかしくなったんだ。




