2ー19【帝国、その真意4】
◇帝国、その真意4◇ミオ視点
帝都から脱したセリスとゼクスさんを小さな村へ連れて行く。
とてとてと、フレイが先駆けて歩いて行く。向かう先は、空き家を貸して貰えるかを聞きに行ってくれたのだ。
この村には宿がなく、昔の【豊穣の村アイズレーン】を思い出すレベルの田舎だ。
「フレイが来るまで休もう」
内心、「あいつ大丈夫か?」だったが。
ここはフレイを信用しよう。この村にはご年配の割合が高いから、何故か、異様にお爺やお婆に好かれるフレイに頼んだのだ。
「……ええ」
ゼクスさんを担いだまま切り株に座る。
セリスは立ったままだ。
この村に到着する前に言った事……考えてるんだろうけど、なぁ。
二分後、フレイが駆け足で戻ってきた。
向かった時よりも荷物を増やして。
「なんで荷物が増えてんだ……」
「ん?借りたよ、お家」
俺の疑問を視線で感じただろうが、何気ない顔で場所を借りたと報告するフレイ。
ま、まぁいい、今は休息だ。話も聞かなければならんし、スルーしよう。
「じゃあ案内してくれ、行くぞ……セリス」
「うん……」
急いで借りたという家へ向かう。
そこはガチで家だった。絶賛、老夫婦が住む家。
おいフレイ……小屋とかにしとけって。
「すみません、端っこをお借りしますんで……お構いなく」
へこへこと頭を下げて、俺は老夫婦にぎこちない笑顔を見せた。
気まずいんだよ、なんで人がいる場所にした。
「……ゼクス、いつ目を覚ますかしら」
「傷は回復しているし、魔力が回復したら起きるさ」
そんな事、知らないセリスじゃないだろうに。
そこまで冷静を欠いているのか。
なら、少し話題を逸らそうか。
下手をすれば心配を増やすことにもなるが……
「なぁセリス。あの馬鹿……ユキナリは大丈夫なのか?」
「え……そう、ね。ユキナリは母親のミリティと一緒に、【帝国精鋭部隊】の施設に……」
そこでセリスはハッ――とする。
そうなるな。帝国が新たな戦力として組織を作ったのなら、【帝国精鋭部隊・カルマ】はお払い箱のはず。
「【帝国精鋭部隊】のメンバーは、俺が見知った人たち以外にもいるんだよな?」
「え、ええ……でも」
ユキナリ、ライネ、ロイドさん、ゼクスさん。
これが俺の知りうるメンバーだ。
精鋭部隊と言うだだけあって、その数は少ない。
だけど、帝都には残っているはずだ、俺の知らないメンバーが。
「頼りにはならないか?」
「――いいえ。それだけは無いわっ」
少しだけ、覇気が戻ったか?
俺の馬鹿にしたような言葉は、セリスの心にほんの微細な闘志を回復させたらしい。
「なら今、帝都に残っているメンバーは何人だ。その誰かが、銃に対抗できる手段があるか?ユキナリとお母さんを、助け出せるか?その誰かには、もう【AROSSA】は支給されてるか?」
「ま、待って!」
いや、【AROSSA】はまだ【アルテア】だけでしか流通していない。部隊はエリアが集めた転生者で構成されているはず、ならば頼れるのは能力。
セリスは一瞬だけど深く考えたのだろう、眉間にズンっと皺が寄った。
そして結論を出す。今考えられる、帝都に残ったあいつの安全を確保する手段を。
「……ごめん、多分……【カリオンデルサ】に残ったメンバー三人。でも、銃弾を防げる能力を持った転生者はいないわ……【AROSSA】も、私たちだけ」
冷静になればよく分かる。
【アルテア】によく来るメンバーが、主力なんだ。
だから、ここにいる俺たちはどうすればいいのか。




