表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/174

2ー16【帝国、その真意1】



◇帝国、その真意1◇三人称視点


 皇女セリスフィアを抱えて能力を発動する寸前、ゼクスの背に衝撃が走った。

 一瞬の衝撃、張り裂けるような痛み。熱を持つ身体……小さな破裂音。

 痛みを無視し、ゼクスは【瞬光(しゅんこう)】を発動した。


 何処まで飛べばいい、何処まで逃げれば皇女は安全か。

 それだけを考え、無心で能力を使いまくった。

 その結果、本来は一週間かかる距離を、ものの数秒で到達した訳だが……


「ゼクスっ!ゼクスっ!!」


 倒れる青年に声を掛ける。

 父との問題もあるだろう。そこに追い打ちで、信頼できる部下が重症だ……普段は気丈で明るい皇女の瞳に(にじ)む涙、押し寄せる様々な感情で、セリスの情緒は爆発寸前だった。


「……」


 意識を手放したのか、ゼクスは動かない。

 焦るセリスが揺らすが、その都度出血が増える。


「っ……だ、駄目っ!冷静に、冷静になるのよ……!」


 自分の血濡れた手を握り、ドレスをビリビリと破って出血部分を押さえる。


「あまりにも突然過ぎて、私らしくなかった。ごめんゼクス、無駄な血を流させたわ……」


 冷静さを取り戻すことが出来れば、セリスは【アルテア】トップに入る知恵の持ち主だ。例え寸前にそれを父に否定されたとしても、(つちか)ってきたものは偽物ではない。


「……【AROSSA(アロッサ)】起動!」


 破ったドレスの下、太腿に巻かれたレザーベルト。

 以前は【オリジン・オーブ】を着けていた所だ。

 そこには黄色の【AROSSA(アロッサ)】が。

 セリスはそれを手に取り、今一番連絡をしなければならない人物に向けて、コールをする。


「お願い……早く出てっ」


 求めるのは治療。出血を防いで、弾丸を取り出さねばならない。

 知恵がなければ無理な事も、その力があれば(くつがえ)す事が出来る。


『――セリスか?どした急――』


「ミオ!!今直ぐ私のところに来てっ!!」


『だわぁっ、いきなり大声だすな!!ビックリしただろが!』


「どうでもいい!!それより早く……えと、ここは!」


 らしくない言動と声の怒気に、ミオも勘付いたのか。


『何があった。今は確か、帝都にいるんだよな?』


「そうよ!だけど違うの、ここがどこだか……分からないわっ!」


 ゼクスが【瞬光(しゅんこう)】で移動した距離を考えれば、近い場所だと思うだろう。だがそこが見当違い。

 ここは帝都周辺ではない……ここは。


「……でん、か。ここ、は……中央付近、です……」


「ちゅ、中央!?この一瞬で……あ、そうか。だから魔力の消費が……」


『おいセリスっ、何がなんだか分からないけど、俺は何処へ行けばいいんだ!?』


 通話先のミオも多少の予測はできたのか、走っているのだろう息の荒さが感じられた。


「中央のエリア!エリアはエリアでもエリアルレーネ様じゃなくて!」


『分ぁってるわ!!中央だな……【転移(てんい)】じゃ行けない、でも――丁度いい!!』


「え?」


 その意味と、その行動の速さに声を出した。

 しかし……セリスが(おどろ)いた瞬間に、その雷光は天へ駆け巡り、真昼の空に(きら)めく【微精霊(フォトン)】が収束され落下。


「――嘘でしょ……??」


 セリスの目の前に落ちた稲妻は……白い姿を形作り。


「お待たせ」


 空気中の【微精霊(フォトン)】を吸収した、白い精霊がそこに存在した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ