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2ー15【苦労を買った結果7】



◇苦労を買った結果7◇セリス視点


 皇帝は(おもむ)ろに立ち上がった。

 それだけで周囲は慌てだす。私だってそうだ……動いた所ですら、随分久しぶりに見たのだから。


「セリスフィアよ、お前が数年の自由を与えられたのは……自分に力があるからだと思うておるのか?」


「……え?」


 立ち上がった皇帝陛下は、領土問題でもなく【アルテア】でもなく。

 私……帝国皇女セリスフィアに関する言葉を述べた。


「エリアルレーネが言わねば、お前はただの(さか)しい小娘だ。自由を与えられて調子に乗ったか?それとも(はな)から阿呆だったか……実に残念だ。余の考えも(はか)れぬ……愚か者め!」


「……ちょ、ちょっと……」


 ゾロゾロと、一気に現れたのは軍人。

 【帝国精鋭部隊・カルマ】ではない、赤い軍服の……私の知らない軍人だった。


 私の後ろにいたゼクスは直ぐ様対応し、私を守るように(かば)い立つ。

 そして大きな声で、帝国皇帝へ。


「陛下!これはいったい、どう言う事ですかっ!?殿下はこの国を想い、この数年尽力を――」


「その努力は意味をなさぬ。お前たちが買った苦労は、余の未来には不必要なのだ」


「……そんな……」


「くっ、なんなんだよこの世界の人間たちは!!」


 その叫びは、ゼクスの本音なのだろう。

 この世界に転生して、ゼクスは戦いの日々だったらしいから。


「ゼクス・ファルゼラシィ、貴殿の忠誠はセリスフィアに注がれた見事なものだ。先程その愚か者が……『あの村を手中に収めて見せる』とでも言えれば、こうもならずに済んだというのに」


「……父上。私はっ……」


 反論など許さない。始めから期待などしていない。

 私の国を想った行動なんて、最初から父には見向きもされていなかったんだ。


 駄目だ。このままだと私は最良の友人も、皇女の尊厳も、人としての矜持も失う。

 でも……足が、動かない。


「――帝国最高の組織、その名も【皇帝の御手】。その愚かな二人を捕らえ、牢にいれよ」


「「「「「イエス、カイザー!!」」」」」


 赤服の軍人たちは私たちを取り囲む。

 そして、その腰に装着されたのは……鉄の塊、弾丸を飛ばす――私たちの敵の、主力武器。


「――まさか……まさかっ!!ち、父上ぇぇぇぇぇぇぇえっ!!」


「駄目です殿下!ここは……失礼を!――【瞬光(しゅんこう)】!!」


 私を無理やり抱き上げたゼクスは、囲まれていながらも能力を発動した。

 光を纏い、向けられ始めた銃器の銃口が火を吹く前に……逃亡を始めた。





「――どうしっ……て……――あぐっ……!!」


 ドサリ。


 私が気付くと、そこは森の中だった。

 叫んでいた途中だったからか、私は移動を終えた瞬間に声を荒げた。


 そして落下したのは、ゼクスに抱えられていた状態から倒れたからだ。


「……殿下、ご無事……ですか」


「ゼ、ゼクスっ……!」


 私を抱えて能力を発動するのはいつもの事だ、けれど、あの状態からの無理矢理の発動、更には周囲を塞がれた場所からの脱出は……酷く魔力を消耗していたらしい。

 ゼクスの顔色は真っ青で、そして……背は真っ赤に染まっていた。


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