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2ー14【苦労を買った結果6】



◇苦労を買った結果6◇セリス視点


 【サディオーラス帝国】の皇帝、バルザック・セル・オラシオン・サディオーラスと対面する私、セリスフィア・オル・ポルキオン・サディオーラス。

 実の父でありながらここまでの緊張感を滲ませるのは、ここ最近の帝国情勢が起因しているだろう。


 それでなくても私は数年、主に【アルテア】で活動をしていて国営に関わっていない。数ヶ月に一度しか帰って来ないような娘に、温情を与えるような父ではないと分かってはいたけれど。


 小麦の売上が落ちた。

 それは帝国の資金を担う商品が、売れていないという事。

 しかも、それは私が彼に与えた麦……その品種改良によって生まれた、【アルテア】産の麦が原因だ。


「――あの村の小麦、余も食した」


「!」


 いつの間に……こちらには持ってきていないはずだけど。

 陛下が【アルテア】の小麦を口に運んだという事は、臣下たちの中では(おどろ)きの部類に入るはず。

 なにせこの父は地元愛が強く、他国の物を信用しない……だから、【アルテア】の物を口にしたというのは、つまり。


「陛下は、【アルテア】を我が国の一部とお考えですか……?」


「……当然であろう、そもそも最東端の我が領土、余の物で間違いはない」


 しれっと言うわね父上。

 だけどそれは、三国で決めたルールに反する。

 三国の主要人物の中で、ミオ・スクルーズは特にルールを重んじる……これは伝えられないわね。

 ミオの反感を買えば、関係性のリセットまでありえるんだから……今の彼を、帝国の誰も止めることなど出来ない。それを父は知らない。


「その通りです。ですが……」


「ですが、なんだ?」


 言えてしまえば簡単。だけど言い出せない。

 この問題は、女王国との長年の軋轢(あつれき)問題も含まれている。

 まるで侵略を示唆(しさ)しているかのような発言……そうも取れてしまう。


「ですが……【アルテア】は三国、我が帝国と女王国、そして公国の国境に存在し、その領土は三国で均等に別けられております。一概に我が物と口にするには、少々……」


 私たち以外にもこの場にはいる。

 当然、私が皇帝の意見に反する言葉を吐いたせいで……(ざわ)つく。


 ざわざわと、臣下たちが私に疑問の視線を向けているのが分かる。

 だが、ここで引けば私は……【アルテア】に帰れなくなる。

 私はここで初めて顔を上げ、父を見据えて言う。


「彼ら彼女らは、対等の立場で未来へ進む同志です。三国で共有し、選択を誤らないように、慎重に考慮すべきです……例え何十年の時間がかかろうとも」


 私がそう決めた。

 未来の帝国をより良くしていく為に、平和な世を築く為に。

 【アルテア】はこの大陸の基盤になるべきなんだ。


「……」


「っ……!」


 無言の圧が、私の瞳に刺さった。

 段差の低い階段、玉座に座る皇帝……短い距離にも関わらず、まるで別の国に居るかのような距離感を感じた。

 睨まれているのか、それとも見放されているのか。怒りか諦めか。


「――セリスフィア。お前は帝国の領土縮小が目的か?」


「決してそのような事は考えておりません」


 背中の汗が気持ち悪い。

 大陸最大の国、【サディオーラス帝国】。

 【アルテア】もその一部とは言え、最も難しい部分……領土問題に発展してしまう。


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