表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/174

1ー26【蠱惑と豊穣4】



◇蠱惑と豊穣4◇


「――と……言うわけだ。理解したか?」


「……」


 物凄いジト目で俺を見る女神。

 おいおい、さっきまでのイエシアスとは正反対だな……アイズ。


「なにが、と言うわけよ。あたしは報告いらないって言ったっしょ?」


 ツーンとそっぽを向いて、アイズは俺に牙を剥く寸前だ。


「はいはい、言うと思ったよ」


 イエシアスの所から帰還し、現在夜になった。

 アイズにイエシアスから聞いた話を伝えているという訳だ。

 因みにクラウ姉さんはもうお眠らしく、部屋に戻ったよ……いや子供かな?


「何が先代のお言葉よ、あたしは知らないっつの。それに、なんだっけ?イエシアスのアホが味方ぁ?ミオ、あんた騙されてるわよ」


 俺の鼻先にビシッと指を向けてくる。

 それをそっと跳ね除けて。


「それは大丈夫だ、エリアルレーネ様に聞いた……主神のマネをするって方法で納得させた」


「――は、はぁ!?あんたねぇ……いや、もういいわ、言っても無駄っぽいし。でも相当の覚悟を持たないと、あの業突張(ごうつくばり)の爺には通用しないわよ?」


 アイズは一瞬身体を抱き寄せる。

 やはり思い当たる経験があるんだろうな。


 だけど、俺はそこまで我儘でも頑固でもないつもりだ。

 ただまぁ、欲張りではあるかな。

 主神に通用するとかしないとかは、まだよく分からないさ。


「張り合うつもりなんてないよ。ただ、この【アルテア】を……異世界を守りたいからな、だからイエシアスにも協力して欲しいだけなんだって」


 蠱惑の女神イエシアス。

 この世界に四柱しかいない、創られた女神たち。これ以上増えてはならない存在だ。されどその力は何よりも貴重であり、そして強い。


 新たに誕生した【女神オルディアナ】と【女神ウィズダム】はまだまだ不安定。

 だから先人の知恵と言うか古株と言うか、ベテランにも頑張って頂きたいのさ。


「あんた何気に失礼よね」


「はははっ!今更だろそんなもん。だから新人をイビるなよ、ポンコツ先輩」


 俺は笑いながら言う。

 今、俺はこの前時代の女神四人……そして新時代の女神二人が協力して築く世界を想像した。それが叶えばいいと、本気で思った。

 だけどまだ足りない。そもそも、神は沢山いるはずだ……だから俺は。


「――イビんないわよ失礼ね!って誰がポンコツかぁ!!」


 目尻を釣り上げて怒るアイズ。

 ああ……やっぱりこういう関係性の方が、こうやって馬鹿みたいに言い合える関係の方が、俺は好きだな。

 イエシアスのような重いくらいの思想も嬉しくはあるけどさ。


「ならいいけどな!はははっ」


「笑ってんじゃないわよぉぉ!」


 怒るアイズを見て更に笑みをこぼす。

 腹を抱えて笑う。だけど本当に楽しいよ、お前が消えないでいてくれてよかった。


 だからこそ、こんな馬鹿を続けていく為に俺は……俺たちはやるんだ。


「……さて、一頻(ひとしき)り笑ったし本題な。先代アイズレーンは、アリベルディ・ライグザールを転生させた。それも二度……これは可能か?」


 声のトーンを落とし、真剣な眼差しをアイズに向ける。

 するとアイズも目尻を下げ。真剣に向き合ってくれる。


「本来は無理よ。昔も言ったけど、転生は記録に残るわ……誰が、とか誰に、とかは分からないようにされるけど、それでも転生の特典(ギフト)の受け渡しは完全に書類に残るのよ……あんたを転生させた時、あたしが間違えたような奴ね」


「それは俺、見てないから。ま、そのおかげでこんなチートになったんだけど」


 俺は手を上げて、やれやれと肩を(すく)める。


「それがまさか、こんなに早く神の領域まで到達するとか……」


 そう言えば、想定より早かったらしいな。


「でもお前、ウィズの人格の元だろ?そう思えば、結構急かしてたじゃないか」


「だからって早すぎなのよ!本当ならあたしを――」


 そこまで言って口を(つぐ)む。

 ハッ――として押さえ、禁句を口にしたかのように。


「知ってるよ……」


 俺に殺させるつもりだったんだろ?

 アイズだけじゃない。エリアルレーネ様もウィンスタリア様も、イエシアスも。

 そして大本のレネスグリエイトを殺させ、この世界に存在する神を全て排除する。


 それが、この女神……【豊穣神アイズレーン】の目的。


「本来なら、俺がお前たち女神と主神を滅ぼして、そしてこの異世界を解放する……正真正銘の異世界、神の関与しない自由な世界を、お前は求めたんだ」


「……そうね。うん……そうよ。だけどあんたはそうしなかった。でもオウロヴェリアを倒したわ」


「あれは倒したんじゃなくて、別の世界にお送りしたんだよ」


 【リードンセルク女王国】の女王。いや、今は元……なのかな。

 シャーロット・エレノアール・リードンセルク、本名仙道(せんどう)紫月(しづき)

 前世の俺とクラウ姉さんを殺した、日本人の女の子……しかしその子は、何度も輪廻転生を繰り返していた、【女神オウロヴェリア】だったんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ